第2話 - 追放の特徴と追放が流行った理由①
よし、じゃあまず、いわゆる追放モノ、というジャンルについておさらいからしよう。
れい子は追放モノって言ったらどんなストーリーを思い浮かべる?
んー、無能で何の取り柄もないと思われていた主人公が勇者パーティーから追い出されるけど、実は優秀でした、みたいな?
それで、主人公がいなくなった勇者パーティーはどんどん落ちぶれて、ざまぁ、みたいな?
まぁ、大体そうだよな。
あとは、主人公が自ら復讐するパターンとかもあったりするよな。
いずれにせよ、
1:主人公が本来よりも低い評価を受けて追放される
2:追放した側が転落していく様子がしつこく描写されている
これが、今現在の追放モノの大きな特徴だな。
テンプレだね。
それで、何なの?追放が流行った理由ってのは?
結論から言おう。
ランキングが追放だらけになってしまった理由、それは「新型コロナウイルス」だ。
え、コロナが追放を流行らせたの?
確かにそんな気もするわね……。
いや、でも、ちょっと待って。追放モノって確かコロナが出てくるよりも前からなかったかしら?
あったな。
でもそれは今とは別の第一次追放ブームの話だな。
第一次?
ああ、まずはこれを見てくれ
挿絵(小説家になろうに掲載された作品のうち、タイトルに「追放」を含むものの推移。2018年頃に一山を作ってはいるが、それ以上に2020年初頭以降の作品数の増加が大きいことが読み取れる。)
これは?
このグラフは小説家になろうに掲載された作品のうち、タイトルに「追放」を含んでいる作品数の推移だ。
あくまで、タイトルに含んでいる数だから実質的な追放ものの作品数はもっと上になるな。
どうだ? 確かに2018年に一つ山があるが、2020年初頭以降の伸び方が半端じゃないだろ?
本当だ。
えっと、2020年の2月から3月にかけて大体2倍に増えているわね。
この時期は確か……。
国内での最初のコロナウイルスの感染者が現れたのが一月中旬、クルーズ船での集団感染が話題になったのが2月の頭、緊急事態宣言の特別措置法が成立したのが3月中旬、そして、実際に緊急事態宣言がなされたのが4月7日だな。
確かに、これを見るとむしろコロナ以外の理由を考えるのが難しいわね。
だろ?
今見せたのは作品数の推移、つまり追放ものの作品を書きたいと思った作者についてのグラフだな。
次に読者に関するグラフがこれだ。
挿絵(Googleトレンドによって追放がどれくらい検索されていたのかを表すグラフ。やはり新型コロナウイルスの時期とほぼ同時期に急激な増加を見せている)
今度はどう読めば?
これはGoogleトレンドという、どれくらいGoogle検索でその単語が検索されていたのかを調べることができるサービスで、これは「なろう 追放」で調べてみた結果だ。
これによって、どれだけユーザーが追放に関心があったのかがわかるというわけだな。
そして、見ればわかる通り「なろう 追放」と検索した人たちは2020年3月以降で急増している。
こっちもドンピシャね。
新型コロナウイルスが人々を脅かし始めた日。
この日までは「追放」は、Web小説に数あるジャンルの中での一つでしかなかったんだ。
しかし、世の中は大きく変わってしまった。
人々が多くの不安、ストレスを抱える中、他人が落ちぶれていく様子を見ることでスカッとしたり、安心感を得ることができるこの「追放」というジャンルは、社会的なニーズととても良くマッチしていたというわけだな。
ふぅん、なるほどね、要するに自分の現状に満足できてない奴らがストレス解消に読んでるってことね。
他人の不幸は蜜の味ってか?
全く、しょうもない奴らね。
……。
……ゴリラ
うっ、すんません……。
見事にブーメランがぶっ刺さってるな。
でもまぁ、こればっかりは仕方ないさ。
誰かを責めたところで解決するわけじゃない。
それに、逆にいうと、原因がわかったんだ、世の中がもっといい方向に進みさえすればなろうにも昔のようなもっといろんな作品が投稿されるようになるはずだ。
今のランキングが追放だらけでうんざりしている人も、今は我慢の時というわけだな
そのとおりね。
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