160話_強くなるための代価
天雅師範の提案は僕たちにとって衝撃的なものだった。
「師範、こいつを弟子に取るんですか!?料理や洗濯なら私が!!」
「お前のあんまり美味しくないんじゃもん。こっちの子達の方が美味しい料理用意してくれそうじゃもん」
「ぐっ……」
師範に飯がマズいと言われ、グゥの音も出ないリュウキ。
「どうじゃ、破格の提案じゃと思うが。普段、わしは弟子などとらん。お前達3人が朝は裸エプロンで起こしてくれて、昼はブルマ姿で掃除洗濯、夜はミニスカポリス姿で寝かしつけてくれればええ」
正真正銘、ド変態のスケベ爺の発言だった。
「正真正銘、ド変態のスケベ
「こらっ!!師範になんて口を!!」
「彼女達はただの付き添いです。師範の身の回りの世話は僕がやります。だから、」
「お前にされてもなんの価値にもならんもん。わしゃピッチピチな女の子に囲まれたいんじゃ!!」
僕の世話などなんの価値にもならなかった。煩悩丸出しクソ野郎な発言をする天雅師範。
「旦那様、私はあなたのためなら何でもする覚悟が出来ています。そちらの師範の要望で旦那様が強くなれるのなら、喜んでやりましょう」
レティが僕の近くにきて手を取る。
「ちょっと青女。そんなこと言っていいわけ?あれ本物の変態よ。まだ触られた悪寒が抜けないんだから」
ミュウが腕に手をやってブルブルと身震いをする。
「望まずに触られることなど、最早今更のことです。私は旦那様のお役に立ちたいのです。そのためならこの身を捧げましょう」
「レティ……」
レティの献身的な姿勢には頭が上がらない。
「強く出たわね……」
「天雅師範とやら、私が師範の身の回りの世話を致します。それで旦那様に稽古を付けてはいただけませんか」
「わしゃ3人全員じゃないと嫌なんじゃもん」
プイッととりつく島のない師範。
「私も…私も、やります」
恐る恐る手を上げるソフィア。顔は目を瞑っている。よっぽど嫌なのだろう。それは間違いない。
「姉様!!?」
「ソフィア、いいのか?」
「恥ずかしいですけど……、シオリのためになるなら…、」
「ほうほう、健気な子達じゃのう。ますます楽しみになってきたわい、ほいで、あと1人どうするんかの?」
爺さんはニヤニヤと笑いながらミュウの顔を見る。
本当に嫌そうな物を見る目で爺を見返すミュウ。手をわなわなさせながら、ひどく葛藤を繰り返した後で、
「わかったわよ!!やってやろうじゃないの!!!」
バンと床を叩いた。その後、僕の胸の中に飛び込んでくる。
「シオリ、絶対あいつより強くなって私が嫌な思いした分ぶっ飛ばして」
ギュウッと僕を抱きしめる。
「ミュウ、ありがとう。嫌な思いをさせてすまない…絶対強くなるから」
「約束よ、絶対なんだから…」
「レティもソフィアも、嫌な取引をさせてしまつてすまない」
「旦那様のためですから、耐えてみせます。ですから、早く強くなってくださいね」
「シオリ、頑張ってください。私達3人はなんとかなりますから」
「さーて、決まったかの?それじゃあ早速これに着替えてもらおうかの!」
どこから取り出されたのか、昔の体育の授業で使われたような白いシャツに赤いブルマ、白いソックスが3つポンと置かれる。
「これを着て、掃除から始めてもらおうかの。そしたら、そこの男、弟子入りを認めてやるぞい」
「あ、ありがとうございます…」
なんとも釈然としないが、3人のおかげで僕は天雅師範の修行を受けられることになった。
「は、女達を身代わりに使うなんてとんだ
リュウキが僕を見て蔑んだ目で見つめてくる。
「随分と突っかかってくるじゃないか。バニーガール姿で」
「こっ、これは着たくて着てるんじゃねぇんだよ!!お前、名前は?」
「シオリだ。天寿シオリ」
「
「よろしく、バニー先輩」
売り言葉に買い言葉。こうして、最悪な状態から僕の修行生活は幕を開けたのであった。
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