未明の彼は誰

遠い昔に約束をしました――



また、このかはたれどきに逢いましょうと



いつかまた会いましょう、ですからさよならは要りませんと



『またいつか』



何時かを通り過ぎてしまわないよう、忘れてしまわないように


わたしは今も彷徨い歩いています



次に会ったあかつきには――



その先に続く言葉を、今は思い浮かべることもできません



とても大切で、尊いもので、身に余る光栄だったのは覚えています


けれども繰り返し擦り切れてしまって、彼方に流れてしまった。


貴方に聞ければいいのだけれど、忘れたカケラが大きくて



彼は誰時でも貴方と逢えたなら、そうと気づけるでしょうか?


たそがれどきならば、問う無礼も笑って許してくれますか



わたし、という存在を――変わらず覚えていてくれるでしょうか。


残響、貴方の声音、また呼んでもらえる日はいつですか。




『またいつか』



かわたれどきにと、今もくちずさんで。



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