農民出身の貧乏学生、実は最凶の召喚士!?〜平穏に生きたいので離してください王女様!!〜
@hyouseika
第一章 学園生活編
第1話 プロローグ
ここはファマイル王国王立学園。
貴族王族大商人の跡継ぎといった将来王国を担うであろう者たちが集うエリート学園。
とある晴れた日——。
「待ちなさい!!!」
中庭に声が響く。声の主は長い金髪の超美少女。綺麗な服、美しい装飾品…、見るだけで気絶しそうなほどの美貌を持つ彼女からは育ちの良さが表れている。彼女の青色の目はつり上がっており、声は怒気を含んでいる。
「嫌だぁぁぁぁぁ!来るなぁぁぁぁぁ!!」
彼女の先にいるのは黒髪の少年。ボロボロのバッグ、古びた靴。顔立ちはかなり整っているものの、貧乏であることが容易に伝わる。
「何で逃げるのよ!!ここに貴方の名前と血判を押してくれるだけでいいのよ!!」
「それただの紙じゃねぇだろ!!そこにサインしたら最後、何年も拘束されんだろうが!!」
「数年な訳ないでしょ!!一生よ!!」
「もっとダメだ馬鹿野郎ぉぉぉぉ!!!」
学園中を巻き込んだ鬼ごっこはやがて街中へと範囲が広がって行き…。
結局最後は街を警備する憲兵に捕まり…。
そして現在。少年はたった1人教室に残り、近所迷惑、器物破損(少女が壊した)、授業時間の無許可外出等についての反省文を書かされていた。
「ちくしょう…。なんで俺がこんなものを…。」
「毎度毎度懲りないわねアンタ。私も庇うの疲れちゃったし。そろそろ自覚しないと本格的に退学になるわよ?」
少年の傍へと1人の少女が寄る。
「お前が全ての原因だろうが!!
なんで俺がお前の壊した銅像や窓ガラスとかの反省文書かなきゃいけないんだアホ!!」
「あら?文句があるなら聞いてあげるわよ?これから私の家に行きましょう?お父様も是非会いたいと仰ってたし」
要するに文句があるなら監禁でも何でもやるらしい。だがそんなことよりも
「陛下が!?お前何か言ったのか!?」
そう。彼女の父親は第15代目ファマイル王国国王だ。そして彼女自身も第一王女。この国トップの人物である。
「別に?同年代に王国最強の少年がいるのよ〜って円卓会議の時にポロっとね?」
—円卓会議—
国の政治の方針を決める最終決定の場。国王、ギルド連合会長、賢者、剣聖、法皇、聖女、第一公爵家のみ参加を許される。
「おまっ!!賢者様や剣聖様、法皇様の前でそれ言ったのか!?」
「あら?何か問題でも?勿論正式な会議中よ。最近ダンジョンの魔物の数が増えて、さらに近々魔王が復活するかもしれないから強い冒険者パーティが必要らしくってね。どうするかって言ってたから、私の将来の旦那様が王国一の実力を持っているって言ってあげたのよ。そしたらみんな驚いててねぇ〜」
「な・に・が・驚いててねぇ〜だよ!!アホか!!ガチシリアスで冗談通じないところで何喋ってくれちゃってんの!?!?」
「みんな口々に私へ誰なのか、どのくらい強いのかとか聞いてきたわね。まぁアンタのことはそれしか言ってないわよ。ちゃんと秘密ですって言っといたから。流石に100%信用はしてないわよ。でも、半信半疑でこの学園に調査が入るのは間違いないわね。」
「…やべぇよ。どうしようマジで。学園長に頼んで毎回ステータスいじってもらってんのに。今回は通用しないだろうなぁ…。」
「仕方ないわね。それなら私のところに来なさい。『匿って』あげるわ。その間、衣食住愛は保証してあげるわ。」
「喜んでお断りします」
「あら、つれないわね。『あの時』あんなに愛し合ったのに。一日中お互い求めあって……。」
「うるせぇぇぇ!!そのことは忘れるって言っただろ!!」
「酷い…。私はアンタに初めてを捧げたのに…。あの時アンタは私のことをずっと愛すだの世界で1番綺麗だの言ってたのに…シクシクシク…。」
「ちょっと待て!!!そして泣き真似すんな!!!」
「だから責任持って一生私の下僕になりなさい?」
「絶対に 嫌だ」
「…仕方ないわね。ならここでまた既成事実作りましょう。もう一度私に愛の言葉を囁いて一生の忠誠を誓いなさい。」
「は?…ってちょ、おい、やめろ脱ぐな近寄るな押し倒すな…!っっっあぁぁぁああぁぁぁぁ!!!!!!!!」
少年の悲痛な叫びが響き渡る。
これは、1人の農民出身の少年と温室育ちの王女が出会い、そして恋に落ちる物語である。
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