座礁

バブみ道日丿宮組

お題:純粋な船 制限時間:15分

座礁

 船が座礁してから、数日が経過した。

 ヘルプコールは既に何回も出してるが、救援が来る様子はない。修理をする道具も、材料もない。壊れてない部分のが少ないくらいだ。そんな中でヘルプコールが壊れてなかったのは良かったことなのかもしれない。

 ただ……対する反応はない。

 座礁した島の近くを通る船がいないのがそもそもの問題だろう。

 海の最果てに島があるなんて普通誰も思わない。

 しかも、地上ではなく、地下。普通じゃ届かない場所にある。

 

 ーー海を文字通り、降りる。


 そうしなければ、ここにはこれない。

 つまり、他の船がきたとしても助かるどうか怪しい。空に海がある。その事実は心に陰りをもたらす。

「どう……? 繋がりそう?」

「いいや……いつもどおり」

 こんな場所で一人っきりだったらと寒気がする。

 とはいっても、2人っきりというのは限りなく孤独に近い。

 もう1人が行動すれば、必然的に一人っきりになる時間は増える。

「フルーツあったよ」

 彼女から果物を受け取ると、そのまま口にする。はじめは抵抗があったが、食料がない今となってはそんなことを考えてる場合じゃない。

 口にしてるのは地上で見かけない形をした果物。味はスターフルーツに近い。ハート型のこともあって、ハートフルーツと呼べるのかもしれない。

「島の中を探索してみない?」

「私体力ないって前にいったよね?」

「でも、ここじゃ資材は限られてる。人を探してみるのも手だと思うんだよね」

 こんな場所に人がいれば、高度な技術を持ってるかもしれない。

 かつてあったといわれるアトランティス大陸。それがここの可能性は何度も考えたこと。

「あんなこと神様にしかできないからね」

 彼女が見る視線を追うと、境界線が目に入った。

 空にある海ーー落ちてこない断崖絶壁を。

「あのリングみたいなのがなだれ込まないようにしてる作用があるんだろうね」

「そうかもね」

 海には大きな黄色いリングが内側にある。空中に浮いてるそれは、落ちる素振りを見せない。きれいに浮遊してる。

「あの技術があれば、あたしたちも空の向こうへいける」

「言葉が通じなかったら?」

「きっとなんとかなる」

 満面の笑み。

「それだといいけど」

 彼女の笑みに今まで何度も助けられてきたけれど、今回ばかりは笑顔だけでどうにかできるような問題じゃないのは、確かだ。

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座礁 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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