それは祝福

バブみ道日丿宮組

お題:名付けるならばそれは祝福 制限時間:15分

それは祝福

 夢を見るのは勝手だが、それを押し付けるのはどうなのだろうか。

「……むむ」

 郵送されてきたのは、とある会社の内定書類。もちろん、自分で出した覚えはない。そして面接も下覚えがない。

 なんなら無視してもよかったのだけど、調べてみるとこれは国が運営してる会社のようで、とても断る雰囲気を持ってない。

 こういうのは、いわゆる祝福に当たるのかもしれない。

 

 あなたに幸運がありますように。


 そういうハッピーな思考を頭でいっぱいにする。

 そうすれば、よくわからない会社でもいけるかもしれない。

 使えない後輩、意味のわからない先輩、仕事のできない代表取締役。

 この会社はどうなのだろうか。公開されてるデータは少ない。

 やってることはわかるのだが、いったい誰がいるのかについては表記されてない。

 会社名以外にホームページに情報はなかった。図書館になら、なにかあるかと探しに行ったものの。

 古い時代からこの国を動かしてるという事実がわかっただけで、誰がなにをしたかということは乗ってなかった。

 そこまでいくと、この会社は危険なのではないだろうかと判断できる。

 もちろん、それはわたしの想像だけで実際はかなりのホワイト企業なのかもしれない。

「……うーん」

 就活がはじまったのは4月。この郵便物がきたのは5月。なにか裏がありそうな気がする。

 わたしはどこにでもいる大学生で、成績は普通だし、運動だって人並みでしかない。

 そんなわたしを国がほしいと思うだろうか?

 勉強のできる友人、コミュニケーション能力が高い友人、ファッションセンスが独特な友人、ヤンキーだけどスポーツ特待の友人。

 頭に過ぎらせるのはどれも優等生。私にはない能力を持った人たちだ。

 とりあえず、電話でもしてみようか? さすがにその時は名字で名乗られるだろう。


 そう思って、数十分の通話。


 だいぶこちらを持ち上げることがわかっただけで、相手の情報は入ってこなかった。

 Aという担当ぐらいだろうか残ったものとはいえ。

 もはやそれは名前でなくただの記号。機械音っぽいこともあって、対応してるのはAIなのだろうか?

 AIが誕生したという話は聞いたことがない。もちろん、聞いたことがないだけで存在してるかもしれない。国が運営してるというのであればなおさらだ。


 そこから数日間考えて、わたしは内定した会社へ行くことに決めた。


 ブラック企業が多い中、国の扱う社員となれるのであれば、おそらくホワイトだろうという考えだった。

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それは祝福 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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