猫語
バブみ道日丿宮組
お題:猫の民話 制限時間:15分
猫語
「こんにちわ」
「はい、どちらさまでしょうか?」
「噂の猫仙人です」
「噂? 外じゃそんなものが流行ってるんですか?」
「そんなわけないじゃないですか。ほら、猫が寒がってるので扉をあけてください」
「いや、知らない人を家にあげるわけないでしょ」
「失礼な。クラスメイトですよ、クラスメイト。あなたが通ってる学校のクラスメイト。ちなみにわたしの席の隣です」
「知らないよ。僕は家から出たくない」
「出たくないなら、入れてくれてもいいじゃないですか」
「交流を持ちたくない」
「そんなこと言わないでくださいよ。わたしも寒くなってきました。どうにかしてください」
「どうにか……って、勝手に来たのはそっちの都合でしょ」
「連絡はいってると思いますよ。何回も猫文字でお手紙を送ってました」
「あのよくわからないのはあんたのか。語尾ににゃにゃといちいちつけても猫にはなれないぞ」
「可愛らしい文体でしたでしょ? いつかこれで世界の共通言語として認識させようと思ってるんです。やっぱりあなたには猫語がわかるのですね。余計あなたと面会したくなりました。このこもきっとあなたなら言葉を理解できるはずですし」
「そうですか。でも、僕には関係ないですよね?」
「そんなことはありませんよ。あなたの置かれてる状況は特殊です。猫と人間のハイブリットであるあなたは特に特殊です」
「好きでこうなったんじゃない」
「ですが、まわりはそうしてくれなかった。だから、孤立した。化け物だと罵られた」
「……なんだ。知ってるなら、もう帰ってくれよ」
「わたしはそうは思わないです。動物の言葉がわかるってのは大事なことだと思います。このこがご機嫌なのか、いらついてるのか、日々知りたいです」
「……大切にしてるんだな」
「そりゃわたしの妹ですので」
「……妹?」
「はい、人形であるあなたと違って猫である妹は世界に認識されてません。いわゆる失敗作として処理されました。でも、わたしは父から預かりました」
「それで僕に何をしてほしんだ」
「最初にいったじゃないですか、この扉をあけて中に入れてください。わたしたちはわかりあえるパートナーになれるはずですから」
「猫人間だぞ?」
「それは今はそうなのかもしれませんが、いずれ世界にはハイブリットで溢れかえるでしょう。そうすれば何も問題はなくなります。研究が止まることはありませんから」
「……少しだけだぞ」
「はい、妹と喋ってあげてください。そして言語化できるようにわたしに言葉を教えて下さい」
「要求が高すぎるな」
「お姉ちゃんですから、妹のことはきっちりしっておきたいのです」
「そうかよ」
猫語 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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