少女と、少年
バブみ道日丿宮組
お題:すごい墓 制限時間:15分
少女と、少年
「お墓に入るのがそんなに不安?」
ぽつりと喫茶店で少女は語る。
「だって、出てこれなくなるよ」
その言葉に耳を傾けるのは、少女によく似た少年。
2人はたった2人の姉弟。
「そりゃお墓ですからね。人はでないですよ」
「でも、入らないといけないんだよね?」
紅茶を一飲みすると、少女はゆっくりと表情を変える。
無から、有。可愛いから怖いへ。
「そうしないとお金がもらえないからね。そのぶん大きなお墓にするよ」
「僕はもらえないの?」
首をかしげる。
「うーん、なにか変わりになるものがあれば、入らなくてもいいだけど」
怒の色合いを少女は見せる。
「そんなのないよね? なら、出てこれないお墓しかないよ」
少年は黙る。
なにかアイディアがないかと思考を巡らせる。
だが、少年より勝る少女に浮かばないのであれば、それはないに等しい。
当然という感じで、
「僕も生きてたい」
少年は言葉を漏らす。
「生きてはいけないよ。お金もらえないもの。あなたは土の中にいればいい。私の言葉わかる?」
甲高い音ともに、カップが地面へ落ちる。
「ほら、あなたがいうから割れてしまった」
騒音に店員が近づき、カップを静かに回収する。
「姉さんも入らない?」
「私は入らない。入ってもお金が入らない。でも、あなたは別。死んだかあさまのお金があなたに振り込まれる」
遺産相続というものだ。
父も母も存続を娘にしていない。どちらも息子に指定してた。
そのため娘である少女は激怒し、相談役として働いてたものを殺した。そうしてついには弟だけが残された。少女としても身内を殺すことには感情が籠もる。
そのため、そのまま墓に入ってもらうことを提案した。お金が入れば、すぐに出してあげるという優しさも込めて。
「わかった? いい? もう満足に使えるお金はないの」
少女は豪遊ぐせがあった。
そのため、屋敷にあったお金はジェットコースターが下るように少なくなった。
「じゃあ、いくわよ」
店員にお金を渡すと、少女は少年の手を引き、墓場へと向かった。
少女と、少年 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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