少年と、少女、狭間
バブみ道日丿宮組
お題:少年の愛 制限時間:15分
少年と、少女、狭間
愛を知ることはよくわからない。
僕の周りにはよく人が集まってくる。
みんな僕のことを好きだと言ってくる。
女子、男子、老人、子ども、先生etc。
「あれ体操服がアイロンがけされてる」
ロッカーに仕舞いっぱなしだった体操服を取り出してみれば、甘い香りと丁寧なアイロンがけがされてた。
忘れたのはこれで2回目だが、2回も同じことを体験してる。
誰かわからないが、この体操服で何をしてる可能性はある。匂いをくんくんとそこら中嗅いではみたもの甘い匂いばかりで、徹底的な証拠になりそうな匂いはしなかった。自分の匂いは意外とわかる、他人の匂いはもっとわかる。
それらがないってことは、かなりこれは丁重に扱われてるということだ。
「はやく着替えに行こうぜ。みんな待ってるぞ」
「わ、わかった」
謎は謎にして、更衣室に向かうことにした。
着替えは色んな人に見られるという嫌なイベントではあったが、なんとか正体がバレるということはなかった。貧乳でそれなりに身長が高いということもあるからだろう。
そんな男のような少女が僕なのだ。
だからこそ、みんなが愛を向けてるのは、少年。少年の学生生活を堪能してるところに愛を彼らは感じてるのだ。
これがバレるようなことになったら、どうなってしまうのだろう。
毎日のように送られてくるラブレターが途切れたり、トイレに一緒に入ってきたり、闇討ちを狙ってみたり……なんかいろいろ悪いことばかりが起こりそうで怖い。
なんにしても好意というのはわりとぼやかしてくれる効果もあって、なんとか少女ということはバレてない。少年に負けないようにと育てられてきたから、成績は上場。黄色い悲鳴を浴びることは多い。
困ったことがあるといえば、トイレは仕方なく男子トイレに入らなければいい。そして当然個室に入る。となると、毎回大きい方をしてるという風に思われるのが間違いないことなのだが、なぜか民衆からのストレスでお腹を痛めることが多いということにされてる。
つまりは、大きい方は名誉なこと。個室はいつも開けて置かなければならない。
そんな、そんなシステムができあがってた。
「いく?」
着替えが終わるまで待ってる友だちに問いかけて、頷かれた。
こんなにもたくさんの生徒が残らなくてもいいんじゃないかとは思いつつ、更衣室をあとにする。
今日はマラソンの授業だった。できるだけ男子平均に入れるように頑張った。
結果は上から二番目だった。また黄色い悲鳴を浴びてしまう。
平均という普通であっても、彼らの愛にとってそれはとんでもないことになってくのだろうな?
少年と、少女、狭間 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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