終わらない夢
バブみ道日丿宮組
お題:裏切りの夢 制限時間:15分
終わらない夢
「夢から覚めた?」
拘束具を着た少年を見下ろす少女。
「いい加減起きてくれないとわたしにもできることが限られてくる」
「これが現実という証拠はないし、夢じゃないともいいきれない」
少女は水を少年にぶっかける。
「この冷たさは現実じゃない?」
「夢にも痛覚があるのかもしれない。そうならば、この冷たさも偽りかもしれない」
はぁという深い溜息。
そして少女は少年の拘束具をさらに強く締める。
ぎりぎりと締まるそれは、肌を圧迫し、やがて破く。
血が一滴、また一滴と地へ流れる。
「夢から覚めた?」
少女は消毒液を少年へとぶっかける。
「すぅすぅする痛みなのかもしれない」
「それはもう夢じゃない。現実なの。そろそろわかってくれない?」
少女は少年の拘束を解く。
「もうやめるのかい?」
「またあした」
次の日
「おはよう、お腹空いてない?」
「点滴されてるから、そんな気分は感じない」
少年の手足には、チューブが繋がれてる。その先にあるのは、血液・薬液。少年を死なないようにするための処置だ。ちなみに尿道にもチューブは繋がれており、尿意も管理されてる。
もっともそのチューブは精液用として少女が繋いだものだ。
「感じないからって夢だと思わないでね。多少麻酔も入ってるから、認識が甘くなってるだけだから」
「もう気はすんだろう? この夢を終わらせてくれ」
「あなたが彼女を助けたって現実がある限り、終わらない。終わらせることはできない」
少女の言葉に、少年は頭を上げる。
「彼女は無事保護されたわ。もっともわたしに購入されたから、意味はない」
「はは……そうか。そうか、僕が君を裏切ってまで逃したのが失敗に終わったのか」
「彼女は家にきてからずっと眠り続けてるわ。なにかを待ってるみたいに」
ふふと少女は笑い、
「もしかしたら王子様が助けに来てくれるのを待ってるかもしれないわね」
少年を挑発する。
もっとも反抗する力は既に少年にはない。
少年が少女に捕まったときに力は消えてなくなった。
「あなたが夢から覚めてくれるのなら、助けてあげてもいい」
少女はスマートフォンを取り出すと、少年へ見せる。
「じゃぁ、また明日くるから」
地へと少女は投げ捨て、部屋からでていった。
終わらない夢 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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