支給金

バブみ道日丿宮組

お題:情熱的な消費者金融 制限時間:15分

支給金

 国からお金が支給される。

 それは外国の人であっても、子どもであっても、ペットであっても均一で与えられる。ちなみに会社も一個人として支払われる。さすがに部署や、チームごとというのは起こってない。ここらへんはちょっとよくわからないが、今後もらえるようになる可能性はあるらしい。

 ちなみに支給に出される名称はA社ちゃん。

 まるで一人の人間みたいだ。

 そんな壮大でありながらわかりやすい支給法であっても、問題は起きる。

「もうちょっともらえないの?」

「均一なので、支払われた額が限度額です」

 今日も支給されたお金が少ないと文句を言う人がやってきた。

 50万円もの額を少ないといえるのはよっぽどの金持ちか、借金がある人だろう。

「今後来ていただいてもできることは同じですので、お引取りをお願いします」

 そういった人は消費者金融でお金を借りるべきだろう。まぁ……借金ある人はまた借金することになるから、よくはないが。

「ここでお金をもらえるって話を聞いたのですが」

 また一人勘違いしてる人がやってきた。

「ここでは相談を受け付けていますが、支給額を払うところではありません」

「もらえる相談ってなにですか?」

「消費者金融の紹介とかですかね。あとは手続きをしてるかどうかの確認ですかね」

 個人番号の控えをもらい、パソコンのデータを検索する。

「もう手続きはできてるみたいですね。あとは待てば振り込まれるはずです」

「もっと割りの良いお金の集め方はないのかい?」

「そんなものはありません」

 仮にあったとしたら、みんな仕事なんてしないだろう。

 国民の7割は働ける人で、国民の3割は働けない人だ。

 このバランスがあるからこそ、国から援助を受けて生活できる人がいる。これが崩されるとなると、間違いなく国家が終わるだろう。

「お金を借りたいんでしたら、やはり消費者金融がいいと思います」

 いくつかの資料を棚から引取り、ファイルに入れる。

「詳しくはこちらを読んでいただけるか、専用の窓口にむかってください」

 それでは、と人払い。

 今日はこんな感じの仕事をかれこれ10数個こなしてる。

 全く嫌になるものだ。調べたらすぐにわかることばかりをみな聞いてくる。もう少し利口になってほしいものだ。

「あの、お金、もらえた。使っていい?」

 そうしてまた一人やってきた。

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支給金 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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