1、王からの依頼

GM:さて、近衛騎士であるロレーナ・セルウィンが名乗った所で、彼女についての情報を少し出しておこう。ロレーナは、近衛騎士の中でも結構有名な女性だ。知ってる人は知ってるかな。


ベルジ:知ってたいな。


エリック:ハーヴェスを拠点にしてる冒険者だし、みんな名前は知ってていいんじゃないかな?


GM:そんな感じ。……その後。ロレーナは、一巻きの羊皮紙を掲げ、其れを開く前に、冒険者の方に差し出して、問いかけます。「ギルド長はお前たちに任せるつもりのようだが、勅命を伝える前に、お前達自身の意志を確認しておく必要がある。これは王からの勅命であり、これを受けるという事は、ハーヴェス王の名を背負うという事だ。となれば——めいを果たすか、いのちを落とすか、二つに一つ。……ただし、役目を果たした暁には、それに見合う報酬と名誉が約束される」


イヴ:なるほどなあ……。


GM:受けますか? 受けませんか? ってことを、内容を明かさずに聞いてきます。


エリック:すごい話になってるけど、どうしようね? って顔で周囲をちらっと。一番奥に座ってるし、皆の方を向きながら。


ベルジ:すごーい! なにそれー! はじめてきいたー! とっても冒険者っぽーい! 危してるー! お目々キラキラ! でも僕がOK出しちゃうと大人たちを巻き込むことになるから、ちゃんと保護者の面々へ確認を取るべく視線を向けよう。


イヴ:子どもが賢神キルヒアの神官やるとこんな感じになるんだ(笑)


エリック:理性と本能が混在している(笑)


ヨル:断るつもりはないけど、自分が率先して決めるのは違うよなって思うから黙ってる。


ベルジ:パーティーの中だと新参(セッション開始前の話し合いで、ベルジとイヴの二人パーティーに、ナタリー、エリック、ヨルの順で合流したという設定になっていた)だもんなあ。


エリック:イヴのことをリーダーって呼ぶのは違うんだよな、パーティーの雰囲気的に。どうします? リーダー? とか聞きたいのに。


ベルジ:じゃあイヴにキラキラの目を向けます! ウケテイイ? キラキラキラ……!!


イヴ:うわ視線が刺さる! 「私は受けようと思います。でも、他のメンバーがどう思うかはわかんないから……どうする? 参加するしない、自由で良いかな」


エリック:音頭取ってくれるなら即答しよう。「ああ、俺は受けるよ、勿論。まあ、参加させてもらえるなら」手をひらひら。受けますよー。


ナタリー:「王の依頼なんて面白そうじゃない?」乗り気な姿勢を示す。


ベルジ:「冒険者になったからには、名誉とか報酬は気になるよね! それに、王様の依頼を受けるなんてことそうそうないし、……機会としては最初で最後だと思うし。いや、最初って言うか、これがはじまり・・・・になったら、僕らの将来の冒険にとっても、すごくいい! 出来たら、いいなあ。うん、受けたいです!」


ナタリー:心のギャルが『わかる~!』って言ってる。


ベルジ:脳死じゃん……。


イヴ:もうほぼ発作じゃん。


ヨル:「異論はない。……同行を許してもらえるなら」


ベルジ:親指を立てる!


イヴ:此処に呼んで『ついてくんな』はヤバい(笑)


ナタリー:追放モノかな?


ベルジ:冒険者パーティーなのにナイトメア追放はまずいですよ!


GM:そのパーティー、すぐ没落しそう。……まあその、皆が参加する意思を示したのを確認してから、ロレーナは羊皮紙を、イヴの方に差し出す。「内容については承知しているが、文面は私は確認していない」と……(羊皮紙の内容を画面にぺたり。)じゃあ、開いて確認してください。


イヴ:はーい。


エリック:今座ってるのは長いソファだろうし、立ち上がって後ろから覗き込むよ。


ナタリー:後方彼氏面だ!!


ベルジ:2m越えリルドラケン、出来るだけ縮んでおきます!




~ハーヴェス王からの勅命~

『勇敢なる冒険者たちよ。ハーヴェス王の名の下に、ハーヴェス・ダイケホーン山道の調査、及び、一連の事件の元凶である蛮族の討伐を命ずる。

 望むだけの報酬を与え、そして、お前たちの名を覚えることを約束しよう。近衛騎士どもには自分で言うなと怒られそうだが、俺とのコネクションにはそれだけの価値がある。ってことで、事件について詳しいことはロレーナに訊いてくれ。堅物だがなかなかの美人だ。

 ヴァイス・ハーヴェス』




ナタリー:おお……。


イヴ:如何にも『若い王』って感じするなあ! とても良いと思います。


エリック:この国王は中々、話の通じそうないい王様だねえ。エリックはハーヴェス王国の国民なので、王については知ってる。


ナタリー:「噂に聞いた通りの人みたいね?」


イヴ:「ハーヴェス王直々ですか……すごおい」


エリック:「はは、王様らしいや」


 プレイヤーたちの中では共通認識があるが、読者諸君にわかるように、ヴァイス・ハーヴェスという男について簡単に解説しておこう。

 彼は、ソードワールド2.5ルールブックにも載っている公式NPCで、父親がリカント、母親が人間という特殊な生まれを持つ男性だ。

 25歳という若さでハーヴェスの国王を務めており、やんちゃで立ち回り上手な、天下人を思わせる性質を持っている。

 多くの種族が平等に暮らせる社会を夢見ている、理想人でもある彼は、人々に"導きの王"と呼ばれ愛されている。


イヴ:若い王が『自分のコネに価値がある』ってわかってるの、いいよね。


一同:わかる。


ベルジ:内容については……ああ、「事件について詳しいことはロレーナさんに聞くように書かれてるから、お聞きしたいな」


GM:「事件の詳細に関しては書いてないのか?」ってちょっと困惑したように言いはするけど、「質問してくれ、何でも答えよう」と姿勢を正す。


エリック:「事件の概要を今一度教えてくれるかな?」


GM:「噂で聞いているとは思うが……」と前置きをしてから、説明をする。「一週間前、ハーヴェス・ダイケホーン間の山道を通っていた交易隊が、蛮族によって襲撃され、生還した一人を除いて全滅した」


 ハーヴェス・ダイケホーン間に位置するディガッド山脈自体は、元々、蛮族の出没が多い地域であり、一般商人の交易隊は、冒険者を護衛に雇わないと通れたものではない。


 特にこの交易隊は、ハーヴェス王国として派遣しているもので、護衛には王国軍の兵士が付いていたそうだ。

 今まで大きな失敗は無かったにも関わらず、突然に今回の事件が起こってしまった。

 また、護衛として向かった王国軍兵士二人の遺体が未だ見つかっておらず、襲撃以降小規模な捜索は何度か行われているが、成果は得られていない。


 行き詰まった王国軍は、冒険者の手を借りることにした。

 この襲撃事件に関する調査と、解決を依頼したい、という内容だ。


ベルジ:確かに、『冒険者の視点でこそわかること』ってあるかもしれないしなあ。


GM:加えて、襲撃の後、ダイケホーンの住民から奇妙な蛮族の目撃情報が上がってくるようになった。その蛮族が襲撃の犯人かもしれない? って噂もある。


イヴ:奇妙な蛮族って言うからには、その蛮族に関してはろくな情報は無い感じかな?


GM:「蛮族と呼ぶには奇妙なんだ……。姿は、黄金の兜を被ったデュラハン・・・・・のようだったと言われている」


イヴ:ええ?


ナタリー:デュラハン……?


ベルジ:「デュラハンって言うと、アンデッドじゃないの?」


GM:「そうなんだが……。デュラハンの習性についても、知っているだろうか?」この情報については魔物知識とかは振らなくていいんだけど、デュラハンは、アンデッドとしても奇妙な性質を持っているんだ。『一年後に殺しに来る』などと宣言をしておいて、予告した時間に現れて命を奪う。


 ソードワールドの世界でのアンデッドは、簡単に言うと、『死体が蘇ったもの』がほとんどだ。

 細かい説明をすると、魂が〈穢れ〉を抱えきれなくなったときにアンデッドになってしまうのだけど、元々は生きていたものが、死んで蘇ってアンデッドになることには変わりない。

 また、大体のアンデッドは生者を無差別に襲う。


 しかし、デュラハンは一体何処から来たのかわからないアンデッドなのだ。

 何故予告をするのかも、何故生者を殺すのかもわかっていない。


 ちなみに、ソードワールドの吸血鬼は、アンデッドではなく蛮族に分類されている。


GM:つまりは、手あたり次第に襲ったりするような種族じゃない。今回の襲撃を起こすようなタイプじゃないんだ。だから、襲撃者がその黄金兜の何か・・だとしたら、それがデュラハンなのかは疑わしい。それよりは、デュラハンのような見た目をした蛮族と考える方がいいから、蛮族と呼称していると。


ベルジ:うーん、聞く限り、デュラハンのくせに首持ち歩いてないしなあ。


GM:デュラハンの認識、雑じゃね?(笑) まあ、首なし馬が引く戦車に乗った黄金兜の人型エネミーだと思ってくれればいいです。


エリック:あるいは、デュラハンは一連の事件とは関係ないかもしれないと。


GM:それもあるね。一応、ハーヴェス王国としては、関係あると思ってるくらい。


イヴ:現場に行かないと深いことは何もわからなさそうだねえ。


エリック:そうだね。その目撃情報があったのも、ダイケホーンの住民だっていうし。


GM:一度、ディガッド山脈を登って、ダイケホーンの方へ行ってみないことには、話は聞けないだろう。


ナタリー:事件で生還してる商人が何処に居るかくらいは聞ける? 「その商人の方は、どちらに居るのかしら?」


GM:「この辺りに……」一応、商業区を取り仕切っている商会に所属する商人らしいので、その商会の方を訊ねてみれば、何処に居るかわかるんじゃないかな?


ナタリー:助かるー! 「ありがとうございます」


ヨル:「今のところ、その交易隊以外に被害は出てないのか?」


GM:王国軍兵士が二名行方不明、それを除いて全滅。商人も一人を除いて全滅……。それ以降の小規模な捜索では、特に戦闘が起きたとかもない。被害は出てないけど情報も出てない。


ヨル:うーん。二次被害が起きてないなら、良かったことには良かった。


イヴ:最初は商業区の方に行って、その後はディガッド山脈を登っていこう、って流れかな。


エリック:そうだね。強いて言うなら、依頼の期限とか。「達成した時は、もう一度ギルドに報告しにくればいいんですか?」


GM:「お前たちがもう一度ハーヴェス王国に戻ってきた時には、依頼を達成したものとする」


ナタリー:うわー!!


エリック:依頼終わるまで帰ってくるなよと!


GM:「門番から私の方に連絡するよう伝えておく」


エリック:口角を引きつらせないように頑張って微笑みを維持しながら、あっ、ナルホドー、わかりました……って顔をします。


ナタリー:責任重大ね。って顔をします。


ベルジ:顔で喋るな(笑)


イヴ:全部『フッ……』で会話するのやめな???


ヨル:「ふっ……」(笑)


ベルジ:「フ……」(笑)


ベルジ:まあ、その辺が分かってれば……。帰ってきた商人が戦闘要員じゃないから、あんまり得られる情報は多くなさそうだけど。あ!


GM:嫌な予感のする『あ』だなあ。


ベルジ:「あのね、ロレーナさん。王様に直接何か言える機会があるんだったら、手紙の最後に、『ロレーナさんは美人だよ』とかふざけたことを書くのはやめなさいって伝えた方が良いと思います!」


ナタリー:こら、余計なことを(笑)


GM:「文面を確認してもいいか?」って手を出す。


ベルジ:イヴさんから受け取って渡しました!


イヴ:渡しはします。けどベルジを一発ひっ叩きます。


ベルジ:「エエー?!」


エリック:背後から頭をぐりぐりしておきます。


ベルジ:「ナンデー!?」


GM:ロレーナは書面を確認して、「勅命書の書き方というものをもう一度勉強させねばならんか」と呟いてから、羊皮紙を返却する。


ナタリー:あーあ!


ベルジ:やりたかったんで! やりたいことやったので、進めてもらって大丈夫。


GM:じゃあ、進める前に……「最後に、私から個人的な依頼をしても良いだろうか?」


エリック:ええ? なんだろう? って顔を……あっ、また顔で喋っちゃった。口に出します。「えっ、なんでしょう?」


GM:「行方不明になった二人の兵士なのだが……魔法剣士の金髪の男と、弓使いの黒髪の女なんだが、調査のついでで構わないから、二人だけでも見付けたら報告をしてくれると助かる」心ばかりの依頼料として、アウェイクポーションを人数分渡してくる。


イヴ:受け取って、後で一人一つ分配しておこう。


ナタリー:おや? おやおや? 弓使い? 純シューター?


イヴ:仲間じゃん?


GM:落ち着けよピュアシューター(笑) それから、そうだな……。「二人ともそれなりの手練れだから、もしかしたら、生き残っているかもしれない」ということも言うかな。「その場合は、手助けしてやってほしい」……まあ、最優先って訳じゃなくて、ついでくらいで良いとのこと。


イヴ:「了解!」


エリック:「了解しました」


ナタリー:「探してみますわ!」……間違えた、「探してみますね」


イヴ:お嬢様……?


ナタリー:お嬢様になっちゃった……。口が滑ったの。


GM:特に質問が無いようなら見送ってくれるよ。


エリック:まあ出発するかな。


ベルジ:いいと思います! 皆で行こう。


イヴ:別行動する理由もなさそうだしな。


ベルジ:折角だからロールプレイしとこ。ギルドを出た辺りで、エリックの兄貴に、「また一緒に仕事出来て嬉しいよ! 今回もパーティーとして頑張ろうね!」


エリック:「こっちこそ、こんなに美味い仕事に呼んでくれてありがとうな」ってベルジの頭を……撫で、撫でれる?


ベルジ:頭頂部は多分、2m40cmくらいの位置に……。


エリック:うん! 肩を撫でておこう。


ナタリー:でけー。


エリック:エリックもリカントだからデカい方なんだけどなあ……。


ベルジ:肩をぽんぽんされつつ、「依頼を達成出来ないと帰ってきちゃいけないっていうのはビックリしたけど、どうにか僕達で解決したいね」ってガッツポーズするのと……、皆の方を見回して、「帰ってきたっていう商人さんのところに行こうと思うんだけど、皆もそれでいい?」って確認しておく。


ナタリー:「異論は無いわ。私も行こうと思ってたところよ」


エリック:「俺もそうしようかな、他に聞き込みをする場所も思い当たらないし」


イヴ:「同じく。買い物したいとは思ってたけれど、商業区の方に行くなら変わらないでしょ?」


ヨル:「それもそうだな」……歩き出そうとし——


イヴ:ヨルの手首を掴みます。


エリック:反対の腕を掴みます。


ナタリー:二人が確保してくれたので見守ります。


ベルジ:方向音痴が先陣を切ることは阻止されたのであった。あーあ! 確保されちゃった!


ヨル:確保されました(笑) 困惑した顔でイヴさんの方を見るよ。


イヴ:「街に出……大丈夫? 手、繋ぐ?」


ナタリー:幼稚園児じゃん!


イヴ:「繋がれたくなかったら皆の真ん中に居て欲しいかなー?」


ベルジ:「僕はもうイヴと手を繋げる身長じゃないからー、ヨルの兄貴が繋いでも良いんだよー?」って拾われ子マウント取っておこう。


ヨル:言われるがまま真ん中に入っておこう。


ナタリー:棺を運ぶ陣形で行こう。(しばらく前に流行した棺桶BGMを口ずさみながら)


GM:まあでも、商業区のど真ん中に紹介があるから、相当の方向音痴・・・・・・・じゃなきゃ辿り着ける筈。


ヨル:不安なので真ん中に居ます。ほら、大通りでも何本かあったりするじゃん? 大通りと細い道の判断って、主観にもよるし……。


ベルジ:相当の方向音痴じゃん……。

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