第17話 マスタースキルに望みをかけて
がん!
「ふう。疲れた」
ハンマーを置いてエストキラは、座り込む。まだ30回ほどしか叩いていない。
緑の縁の虫眼鏡が、壊れているかどうかわかる魔道具だった。それでとりあえずは、壊れたものだけ近くに持ってきて用意し、一個入れてはハンマーで叩いていた。
「腕が痛い……」
”でもこれで、えーと銅貨3000枚分で、銀貨3枚分。で、合ってるよね? うーんと、もしかして1000回叩けば、金貨一枚分!?”
指折り数えていたエストキラは、ぱあっと笑顔になる。渡された紙の最後に、金貨100枚貯めろと書いてあったのだ。これが依頼料だろう。
「よし、やろう!」
やる気になったエストキラは、魔道具をポンと入れて扉を閉め、ハンマーを持ち叩いた。
がん。
「いたたた」
毎日重たい物を持ってはいたものの、普段とは違う動きの為、筋肉痛になったのだ。
「はぁ……。やっぱり1000回って遠い。でも叩くだけでお金がもらえるんだからこれが軽くなればなぁ……あ、マスタースキルで何とかできないだろうか」
レベル上げをしてマスタースキルで何とかなるかもと一人頷く。
”そういえば前回のマスタースキルはなんだったんだろう”
*マスター
*レベル5:スキル発動消費MPを1にする。また経験値を2倍獲得。アブソープションを取得(レベルアップ時、MP全回復)。成功率+5%。ダブルを取得(両手それぞれ違う対象に限り一緒に発動させる事ができる)。
次のレベルまで:オプションがレベルアップ時に一緒にレベルアップする。
”うん? これってさらに倍に経験値を稼げるという事ではないか!”
次のレベルまで:0P/1000P
成功時4P、失敗時2P(マスター効果)
経験値を確認すれば、前の倍。つまりは、両手なら同じぐらいの回数でレベルアップ可能という事だ。
「やったぁ! 右手と左手とに持ってっと」
壊れた小さな魔道具をそれぞれ両手に持った。
「スキルスバヤサ」
――素早さ+1を付与しました
――素早さ+1を付与しました
「おぉ。本当に別々についたんだ。経験値もちゃんと倍入ってる」
エストキラは、スキルスバヤサを連呼していくのだった――。
◇
――素早さ+1に上書きしました
――素早さ+1に上書きしました
――オプションがレベル6になりました
――マスターがレベル6になりまた
「ふう。レベル6になった。手がだるい。今度からは持たないでやろう」
今更ながらなぜ持ってやっていたんだと思うエストキラ。
*マスター
*レベル6:スキル発動消費MPを1にする。また経験値を2倍獲得。アブソープションを取得(レベルアップ時、MP全回復)。成功率+5%。ダブルを取得(両手それぞれ違う対象に限り一緒に発動させる事ができる)。ダブルその2を取得(対象の上に右手を乗せその上に左手を乗せると効果が5倍になる)。
次のレベルまで:オプションがレベルアップ時に一緒にレベルアップする。
”うん? 今度は手を重ねるの? もしかしてオプションの効果が5倍になるの?”
さっきまで右手に持っていた壊れた魔道具に右手を乗せ、その上に左手を重ねた。
「スキルカルクナレ」
――重さ-5に上書きしました
「やっぱり! -5って5%って事? うん。順調に強化されてるよね。でもこれだと1回分の経験値しか入らないみたい。レベル上げには、両手だね」
右手と左手をそれぞれ魔道具に触れ唱える。
「スキルスバヤサ」
――素早さ+1に上書きしました
――素早さ+1に上書きしました
◇
――素早さ+1に上書きしました
――素早さ+1に上書きしました
――オプションがレベル7になりました
――マスターがレベル7になりまた
「どうだ。次は何を覚えた?」
*マスター
*レベル7:スキル発動消費MPを1にする。また経験値を2倍獲得。アブソープションを取得(レベルアップ時、MP全回復)。成功率+5%。ダブルを取得(両手それぞれ違う対象に限り一緒に発動させる事ができる)。ダブルその2を取得(対象の上に右手を乗せその上に左手を乗せると効果が5倍になる)。鑑定を取得(オプションが付いているモノがわかるようになり、触れて鑑定と唱えればオプションを判別できる)。
次のレベルまで:オプションがレベルアップ時に一緒にレベルアップする。
「微妙だ。オプションがわかってもなぁ。って、この光って見えるのがそうなの?」
エストキラの手元にある壊れた魔道具が淡く光って見える。そして、魔道具の山も光って見えったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます