冬と寒さと暖かさ


 冬は寒い。当たり前だ。


 放課後の校門前でそんなことを考える。

 なぜだろう。ふと浮かんだのは、彼の横顔。

 春から今までほぼ話せてない。この前の席替えで、やっと隣になれたのに。

 なぜか涙が出た。震えが止まらない。


「寒いの?」


 唐突に響く彼の声と差し出されたカイロ。


 冬なのに、暖かかった。

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