夏を背に、秋に並んで、冬に臨む


 秋は、少し寂しい。


「なんでだろうね」


 夕陽に臨みながら、隣の君に問う。君は少し考えて、夏が眩しかったからと答えた。


 確かに、そうかもしれない。


 あの夏が……夏休みがなければ、私たちはこうはなれなかった。


 右手の温もりを握りしめる。


 そして、握り返される。


「温かい」


 もうすぐ、冬が来る。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る