女心と秋の空


「急に降ってきたな」


 小木の下。肩が触れ合う距離で、俺らは雨宿りしている。


「……」


「その……ごめん」


 喧嘩中にこの距離はキツい。謝るために連れ出したのに。


「ふふっ」


 その時、唐突に彼女が笑った。


「懐かしいね」


「へ?」


「そういうとこだよ」


 額を弾く微かな感触。本当に、訳がわからない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る