5年分の距離に気づいてから
「それ、持つよ」
文化祭準備の、買い出しの帰り道。重そうな袋を持つ幼馴染に、そっと声をかけた。
「ありがと。でも大丈夫」
返ってきたのはお礼の言葉だけ。袋は、彼女の手の中のままだ。
塞がる右手と、空いた左手。
その先にある、1人分の空間。
疎遠になって生まれたこの距離を、僕は埋めたい。
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