大器晩成
まばらな足音がふたつ、公園の石畳に響く。舞い上がる風につられ、前を歩く彼女が首をもたげた。
「あ、桜……」
青々と茂る葉の中にひとつ、桃色の花が揺れていた。
「……夏桜だ」
春に咲けなかった花。
でも今、僕たちを魅了している。
「……私も、咲けるかな」
か細い声。
僕は、力強く頷いてみせた。
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