志の花
「梅雨の花といえば、何を思い浮かべる?」
窓を叩く雨音。植物の手入れを終えた園芸部の先輩が、不意に尋ねてきた。
「紫陽花…とか?」
「メジャーだね」
君らしいよと、先輩は短く笑う。
「私はね、立葵」
細めた視線が曇り空に留められる。
留学の前日。
僕は、どんな言葉をかければいいのだろう。
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