甘いだけじゃ物足りない


「ほいっ! いつもの!」


 その声と同時に、小包装のお菓子が宙を舞い、僕の手の中に落ちた。


 幼馴染からの、バレンタインの義理チョコだ。


「ありがとー」


 僕も慣れた手つきで袋を開け、それを口へと放り込む。


 変わらない甘さが、口に広がった。


 そこで、変わったのは僕の心だったのだと、気がついた。

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