②
「嶽崎!? 嶽崎!? 大丈夫!?」
「お~。詩歌。とうとう俺と……」
健が言い終わる前に、バシーンという音とともに健の頭部に痛みが走る。
「いてええよ、詩歌~」
どうやら、詩歌に思いっきり頭を叩かれたようだ。
「あんたがへんなこというからよ。突然倒れたから心配したのに……」
詩歌が不機嫌そうにむっとする。健はそれをみて、一瞬、きょとんとした顔で詩歌をみた。
「なによ」
「いやあ~~。詩歌が心配してくれるってことは、俺にも可能性ありってことか~~」
「何の可能性よ。ばかじゃないの! それよりも突然倒れるなんてどうしたのよ」
「う~ん、ただのオーバーヒートだよ」
「オーバーヒート?」
「そう。力を使いすぎると、時々意識を失うことがあるらしいんだよ。まあ、実際になったのは初めてだけどさ。心配いらねえぜ」
「本当に?」
「大丈夫! 大丈夫! それよりも、急ごう!」
健は立ち上がると、一度詩歌に笑顔をむけると歩き出した。
「あっ! 嶽崎!」
詩歌は、彼の後姿を見ながら不安を覚えた。
本当に突然のことだったのだ。
詩歌と健は、最近このあたりで頻発している不可解な殺人事件についての捜査をすることになった。
そのために、現場となった場所へ来たのだ。
不可解というのは、その遺体の見つかり方である。
引きちぎられた体には、血液というものがまったく残されてはいなかった。その被害はもう十件ほど及んでいる。
その不可解さは普通の殺人ではなく“核”によるものではないかという判断が下されたゆえに『特別怪奇捜査部』へ仕事が回ってきたのだ。
とりあえず、詩歌と健、恭一と淳也、尚隆と大吾の三手に別れて、事件の真相についての捜査を行うことになった。
健はおれに任せろと、張り切って事件にかわりありそうなものを片っ端からサイコメトリーしていったのだ。その結果能力の使いすぎにより気絶したというわけだ。
「嶽崎。本当に大丈夫なの?」
「心配するなって! よしっ! バンバンいっちゃうからなああ!」
健は腕まくりをすると、ずかずかと歩き出した。
詩歌は妙に張り切る健の後ろ姿を心配そうに見つめた。
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