七 無間の女
無間の女は、母だけではなかった。
母とは別に、
兄弟子の言うところの、おなごを誑かす術、が女にかけられるところも、実際に何度も法春は目にした。
たとえば、
異形の僧である。
一瞬、瞳を開いた女に、何やら無間は
それだけで、
そして、それは
そのとき、壁を背に
壁際の法春を、一筋の灯火が映しているのにもかかわらず、それに気づかぬかのように、自ら帯を解いた女はそこに座している無間の膝に股がる。そして、無間の頬を両の
ことが終って息のやや
最初のころは、なかなかそうはいかなかった。
別の生き物のようにさえ見える女の
「母も……」
と、思った。
しかし、そのたびに、
「法春」
まさに事に及んでいるはずの無間の声が、耳にではなく、法春の頭の中に響いた。
そんなときに限って、身じろぎもせず壁際に座る子どもに、法春に、女は気づく。驚いた女が声を上げる前に、左手で女の髪を無間が
術にかかった女のうち何人かは、母のように無間から離れられなくなる。
ひと月ほどして、無間の膝の上で悦ぶ母も見た。
だが、いつもと変わることなく、壁を背に座禅を法春は組んでいた。
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