五人目の転校生
ある日、私のクラスに転校生がきた。
転校生がくるという情報が入るとだれもがワクワクするもので、どんな子なんだろうなんて友達同士でいいあうものだ。
もちろん、私も同じ気持ちだった。
今度はどんな子がくるのだろうかと胸を弾ませたのはいうまでもない。
今度はっていうのは、私が入学してから四年間の間に四人もの転校生が私のクラスにきたためだ。
最初は二年生のころ、女の子で笑顔のかわいい子だった。家も近所ですぐに打ち解けた私たちはすっかり親友になってしまったのだ。
ちなみにいま私のとなりに彼女がいる。
新学期のクラス替えのあと、新しい教室にはいったとき担任の先生が自由に座れというものだから、彼女と隣同士に座ったというわけだ。
どんな子だろうね。
男の子だったらイケメンだといいなあ、
そんな話をしていた。
二人目は三年生の春。小柄な男の子で眼鏡をかけているいかにも真面目そうな子だった。見た目の通りまじめで成績優秀。とくに嫌みがないからいじめられるということはなくそれなりに友達も多く、いうのまにかクラスメートから頼られることがおおかったから四年生になると学級委員長なんかまかされていた。
ちなみにその子は教壇のすぐ前の席をじんどっている。
三人目は三年生の三学期。これはまたそこそこのイケメン。くりっとした目が印象的な少年だった。人懐っこく明るい性格でもあるためにたちまち人気者となり、女子の間ではファンクラブなんて存在しているらしい。
ちなみにそのこは生真面目な委員長のすぐ後ろで友人たちと騒いでいたものだから、ついさっき先生から怒られたばかりだ。
四人目は四年生の一学期の途中。少し影のある女の子だった。影があるから暗いというわけではない。本人は明るくおてんば娘という言葉がばっちりはまる女の子だった。なぜ、影があるのかというと転校した事情によるものだ。その事情のついてはもっと後になって聞いたことたが、彼女がどこか影を落としていることが納得いくことだった。彼女は窓側でぼんやりと外をながめている。
そして、五人目がきた。
先生の呼び掛けにより入り口から現れた少年に私はなぜか釘付けになってしまった。
なぜ、そうなったのかわからない。
そんなことはいままでになかった現象だった。
なんとなく全身が熱くなり、心臓の鼓動が高まるのを感じた。
スポットライトが少年を照らしている。
なぜからわからない。
離せない。
目が離せない。
親友がなにかをいっているが、その言葉がまったく入ってこなかった。
いまなら、
それがどういうものだったのかわかる。
でも、
まだ十歳の私には、それが何なのかまったく理解できないものだった。
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