第7話
「えっと...なんでこんなことをしてるんですか!?」
アタシは混乱した頭のまま尋ねた。すると、
「あなたのためです!」
はっ!? いやいや全く意味分かんないんですけど!? とっても良い笑顔で言われてもねっ!
「それじゃあまた!」
アタシが呆然としていると、ミーナ嬢はさっさと教室を出ていった。そういやクラス違ったね...
って、そうじゃなくって! どーすんだよこれ! アタシが途方に暮れていると、
「おはよう、アリス」
アタシの後ろから声が掛かった。そこに居たのはこの国の王太子、アインハルト・ブラゼル殿下だった。
「なにかあった...って、なんだこれは! 虐めか? 虐めに合っているのか?」
殿下はすぐさまボロボロに引き裂かれたアタシの教科書に気付いて、かなり憤慨した様子で尋ねて来た。いや、答えたくてもアタシにも意味不明なんだけど...
はっ! 待てよ、ミーナ・バーネット伯爵令嬢っていったら、確か殿下の婚約者じゃなかったか!? だからこんな嫌がらせを!? 嫉妬か!? 嫉妬してこんなことをしたのか!?
いやいや、そりゃ確かに中途入学した当初は、席が隣ってこともあってか、やたらと殿下が世話を焼いてくれてさ、そのせいでクラス中の女子生徒達から僻まれたりもしたけれど...
まさか婚約者にまで!? いやいや待って、ホントに待って! アタシが殿下を誘惑してるとか勘違いされてんのか? 無いわ~! そりゃ無いわ~! いやマジでっ!
だってアタシ、ついこないだまでバリバリ庶民よ!? 身分だって貴族の底辺男爵令嬢よ!? そんなアタシが王子様となんて釣り合う訳ないじゃーん!
それにさ、中途入学したアタシだって知ってるよ、ミーナ嬢の優秀さは。学業も魔法もTOPで品行方正、眉目秀麗、非の打ち所が無い人だって。
そんな超人相手に張り合おうだなんて、身の程知らずなおこがましいこと微塵も思ってませんて! アタシゃやだよ! 静かに暮らしたいんだ! 嫉妬や権謀はどっか他所でやってくれ!
だからさ、
「ち、違うんですぅ~♪ 風魔法の鍛練で本のページをめくれないかな~? なんてやってたらぁ~♪ 力加減を間違えてぇ~♪ ビリビリに破いちゃったんですぅ~♪ アタシったらお馬鹿さん♪ テヘペロ♪」
そんな感じで誤魔化してみたんだけど、さすがに苦しいか...それと、さすがにあざと過ぎたか...そう思って冷や汗掻いてたら...
「ハハハ、アリスはしょうがないな~♪ でも、危ないから教室でやっちゃダメだぞ♪」
チョロい王子で助かった...いやでもこの国の将来は大丈夫か...
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