第2話
「ですから、将来王妃になるのなら、これくらいの試練を乗り越えられなくてどうすると仰れまして、公爵令嬢である私が自ら体に叩き込んであげるわと全ての試練を私に課しました」
「はっ!? 全て!?」
「はい、全て」
ミーナは当たり前のように言った。
「全ての試練を突破した私に、イザベラ様はこう仰いました、最近殿下につきまとっている令嬢がいる、あの娘は側妃を狙っているようだから、将来王妃になるあなたが教育してあげなさいと」
その言葉を聞いた途端、イザベラとその取巻き達は顔面蒼白になって座り込んだ。
「まず、教科書は使い物にならなくなっても困らないように内容を全て覚えておけと、幸い私は一度読んだら忘れませんので楽勝でしたわ」
「うわぁ...それ凄いね...」
「残念ながらアリス様は無理だったようですが」
アリスは呆然としている。
「次に廊下の件ですが、イザベラ様の取巻きでいらっしゃる、ライザ様、エリン様、オルガ様方が、常に死角から体当たりを狙ってきましたので探知魔法は欠かせませんでしたわ」
「うわぉ、なんてサバイバルな毎日...」
「こちらも残念ながらアリス様は私一人の突進もかわせませんでしたが」
アリスは思い出したのか体を震わせている。
「次に大雨で激流と化した川に突き落とされた件ですが」
「ちょっと待ってぇ! 噴水じゃなかったの!?」
アインハルトが絶叫する。
「いえ、私の時は川でしたが」
ミーナは何事もなかったように答える。
「それって殺人だよね!? 嫌がらせの範囲とっくに越えてるよね!?」
「ええ、私もそう思いましたので、アリス様の時は噴水にしました。その...死んじゃうと思ったので...」
「それが普通だよね!? ってか、よくミーナは無事だったね!?」
「私、浮遊魔法が使えますので楽勝でしたわ」
「あぁそうなんだ...」
「次に校舎の屋上から突き落とされた件ですが」
「うん、もうわかった! 浮遊魔法で無事だったんだね!」
「いえ、風魔法でクッション作ったんですが」
「どっちでもいいわ!」
「それとアリス様ですが屋上からだとさすがに...」
「うん、死んじゃうね! 皆まで言わなくていいよ! だから一階の踊り場からにしたんだね!」
アインハルトは段々投げやりになってきた。
「あと何だっけ、あぁ破落戸をけしかけたか」
「はい、ただ私の時はS級冒険者が相手でしたが」
「...一応聞いておこうかな、なんで生きてんの?」
「防御魔法を重ね掛けして、最上級攻撃魔法で一発で仕止めましたわ」
「うん、なんていうかその...お疲れ様...」
アインハルトはなんかもうどーでも良くなってきた。
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