君に出会うために生まれてきた
リゥド
第1話黒猫のアトリエ
一つ二つ、ドワに付いている小さな呼び鈴が部屋内にこだまする。
「いらっしゃい」
ここは黒猫のアトリエ、まだ出来て間もない新米のアトリエ。誰もがこのアトリエに初めて入った人は決まって言う事がある。
「……やすい」
その言葉をこぼすのは、茶色の髪に薄汚れた灰色ワンピース、年齢は8〜12歳くらいだろうか。服を見るに少女はスラムの住人なのだろう。
スラムの住人達は例えて言うのなら、戦いで勇敢に散って行った者達が残した小さな希望
小さな希望が集まった集団それがスラム
その少女の目がキラキラと輝いていた、それもそのはず、ここにある物は、どこのアトリエよりも安い。
この国の人間達とここ黒猫のアトリエは価値観が違う、外の世界の住人と内この国の住人と言うように
。
俺たちは、外界から来たーー
ここは人間と獣人が暮らす世界、最も安全な楽園、ヒューマンビーストと呼ばれてる区域、それと同時に外界では世界の中心とも呼ばれている
その訳は、魔法科学自然魔法高次元炉、簡単に言うのならこの世界を温める為の焚き火
この世界には様々な種族が生きている。
天使、悪魔、魔人、エルフ、ドワーフ、妖精、
聖人、獣人、人間
人間が最も関わるのは
聖人
生まれながらにして人の枠を越えた存在この世にたったの一人しかいない、一人以上存在出来ない理がある。
獣人
言伝の様に昔から語られていた、人に尽くしていた世代が合った、その名残で彼ら獣人は無意識で手が出てしまう。
妖精
天使と悪魔よって封印が施されたとされている銅、銀、金の鎧に覆われている。封印は使役者によって解くことが可能、だが根本的な解決策はまだ発見されていない。
「ぁあの!ここに!病気治すクスリありませんか!」
目線が合い、落ち着かないようで辺りを見回し始める。沈黙が続く中次第に少女は焦るように言葉を紡いだ
「友達が、熱出して、大丈夫て言っててでも!!全然よくならなくて、クスリ探しても売ってくれなくて、貴族さんがここならて!!」
ぎこちなく紡いだ言葉は友人を助ける為に一生懸命なんだが、その中に一つ気になる言葉がある。
スラムの住人に貴族が関わることはない面白半分で関わるのアイツくらいしかいない。
それは黒猫のアトリエが出来た時の出来事。
全てのギルド、アトリエ、商会が集まる時がある。
それは属している者しか立ち入る者を許さない。
選定の儀それは選ばれた妖精の契約者を探すため必要な儀式、新たに加わった者達から選ばれた者を探すためにこの国に習慣付いてる事である。
そこで、アイツに出会った。
「あの!」
さっきよりも落ち着いた様子で頬染めて、怒り気味の少女がそこにいた。
「それなら、これだ」
紫色の液体が小さな小瓶に入っている。封には黒猫の紋様が施されている。
少女は不思議そうにその小瓶を手に取った。
「どく?」
それはそうだ誰もが紫色の液体を見ると殆んどの人が思う事だろう。
毒をどう捉えるかは人それぞれ、人を快楽に誘う物もあれば、永遠に等しい苦しみを与える毒もピンから切りまである。このれは俺が造った特定の症状を中和するための毒。
「そうだ、一種の回復道具の一つ買うか買わないかは自分で決めろ」
その一言で小瓶から手を離してまた、落ち着をなくした。辺りを見回し、小さい声でどく?なおる??のと何度も呟いている。
「ししょう〜?子供いじめて何してるの?」
後ろから声が聞こえる。次第に近づきていき俺の左側に顔を出す。頭の上にあるふさふさの耳、赤髪の髪は肩。ほんのりと花の様な甘い香りがする。
「大丈夫だよ!見た目はあれだけど、絶対治るよ!!
ししょうが造ったものにハズレはないからね」
自分が造っている訳でもないのに威張っているこの少女はレイ、とある獣人の村で押し付けられた子供
「ぁあの、ください」
その言葉に安心した少女は、片方の手に握りしめていた二つの銅貨をカウンターに置いた。
そこからレイと少女の沈黙の時間が来た。
満足に笑みを浮かべる少女。
相反して困惑する看板娘レイ。
それもそのはず値段……つまり一枚銅貨が足りないのだ。
黒猫のアトリエは安いどこよりも安い、そこで誰も値切ることはしないだろう。
少女の笑みはまだ続いている、少女はただ単に気づいていないのではないだろうか。
「まいど」
それを述べずに、売ることにした理由はとくにない。二枚の銅貨をしまい商品を渡す。
レイは不満そうな顔をしている。仕方ないと小さく呟いた。
「ぁ、ありがとうございます!!」
商品を手に入れ少女は、アトリエを去っていた。それと入れ違いに一人が入ってきた。
「久しぶり、じゃぁないわね、それにしても、本当に安いわね」
黒髪みは短く首くらいのショートヘヤ。他の貴族より服装は派手ではなく、キャラメル色のジャケット中には白いカフタンを着ている。スカートはティアードスカート色はピンク色。頭にはキャラメル色のベレー帽。
「メルさんお久しぶりです」
俺よりも先に返事をしたのはレイだった。メルに好意があるようだ。あの時の事がキッカケだろうそれはまたの機会に話そう。
「珍しいな、こんな所に来るなんて」
「貴方に仕事を持ってきたの」
メルが持ってきた紙には王族の専用印と共に
原因不明の病気を治す薬を作る事
と記されている。
王紙にただそれだけのことしか書かれていなかった。これは王族専用の物にも関わらず、中身がない内容だった。王紙の内容に関しては事細かに詳細を書かなければならないと言う盟約の元に書かれる。例えて言うのなら、大型の魔物等の討伐に騎士の要請する際に使う物。又はギルド、商会、アトリエ等の機密事項に関する際にも使用されるとのこと。
「あれ、マリアは寝てるの?」
メルは周囲のやや上の方を見回して言った。
彼女が言ったのは、妖精の事だ。
「ん〜ふぁ、おはよ〜シロ」
左側につけている淡くほんのりと朱く光るイヤリングが揺れてマリアは出てきた。メイの言葉におはよと答えマリアは俺の左肩に座った。
シロこれが俺の名前だ、今の肩書はただの黒猫のアトリエの主それだけかな。
「依頼内容は?不治の病を治せとは言わないよな」
それとなく釘を刺して言ったがメルの顔は笑みを浮かべたまま。やな予感とは不思議なことに当たるものだな。
「そうよ、それがどうしたの?だってシロ貴方は、
あの金の妖精の呪いを解いたんですからね」
分かっていたが再度その言葉を聞くと溜息を漏らす以外に何も出来なかった。
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