娼婦の告白

 

 コンクリート製の建築部が外壁の様に立ち並び、ある種中世の城塞都市を思わせる外観から、中は木材を建材とした建築物があちらこちらにある街並みに、多くの人が行き交い賑わいを見せる。

 道は広いが武装車両が縦横無尽に走るため、そこら中でクラクションや罵声が響くのはこれまで見てきた街同様の光景。錫乃介が気にせずジャノピーを走らせるところは慣れたものだ。

 街入り口近くにはやはり大小様々な商店が並び、洗濯機から高射砲、インディカ米から装甲車、ステテコから対物ライフルと、混沌とした物が販売されている。

 とりあえず給油を終え一晩泊まる宿を先に確保するため、あちこち周りながら無駄に飲み過ぎた飲料水の補充を行い、スナック代わりに謎の肉が詰まったブリトーを食す。

 日も沈み黄昏時となった時に目に入った一枚の看板『おっパブバブー』に釘付けになり、ナビの注意も聞かずフラフラと赤レンガの建物に入ってみれば、中は総板張りのシックな内装。立ち飲み用の丸テーブルが三つ四つと、壁際はウォールナットのベンチが店を囲む。左手にはバーカウンター、右手には[Private]と札の付いたドア。既に幾人かの人が飲み合い、ざわざわとした繁盛ぶりを見せ始めてる、どこからどうみても正統派ブリティッシュパブであった。



 ほらな、ちゃんとしたパブじゃん。これを想定してたんだよ。別におっパブで引かれた訳じゃねぇし。赤レンガの建物に引かれて来ただけだし。伝統的なパブなら宿も兼ねてるだろ、それがわかってたから、んだよ、ちくしょうめ……


 “もう、内心隠し切れてないじゃないですか”


 いや、でも裏サービスみたいなのあるパターンもまだ捨て切れないな。


 “諦めて無いんですか……”



 「サーセン、今日一晩泊まりまーす。お部屋空いてますか?それから飯と酒下さいな」

 

 「ハイハイ、どうぞいらっしゃいませ。お部屋は空いてますよと、それからご飯はこちらのメニューね」



  バーカウンター奥にいた後ろを向くスタッフらしき人物に話しかけると、こちらを振り向き気さくに対応してくれる。その姿は赤と白の縞々模様の帽子と服に丸メガネ、どっからどう見ても“ウォー○ー”その人であった。


 

 なんか、探して欲しそうな人はっけ〜ん!そういや、ウォー○ーはイギリスだったな。こいつの名前はウォーリーに決定な。



 「それじゃマスターとりあえずビールね。あと、メニューって言っても蒸した芋と豆のグラタンとチップスしか無いんですけど」


 「パブなんてそんなもんですよ」


 「そうなんですね。ついでにもう一つ質問ですけど、この店の名前の由来は?」


 「馬鹿な余所者客が勘違いして入ってきて無意味に大金払ってくれるんです。なんか隠しサービスがあるかと期待して。馬鹿ですよね」


 「ほんっと馬鹿だな!そんな馬鹿でよくこの世界で生きてけるぜ!もうある意味尊敬できるレベルの馬鹿だな!」


 「そんな馬鹿共でうちは助かってるんですよ。ありがとうございます」


 「何で俺に言うの?違くないそれ」


 「ありがとうございます」


 「やめてよ。まだ俺大金払ってないんだからお礼言わないでくれるかな。それより早く部屋案内してくれる? それからお酒ね。ビールちょうだい」


 「ハイハイ、一泊先払いで150cです。はい、ではこちらが鍵であちらのドアから3階のお部屋【バインバイン】を使って下さい」


 「他にどんな部屋があるんですか?」


 「他には【ボインボイン】とか【パイパイ】とか【ボヨヨンボヨヨン】とかあります」


 「ボインボインにしてもらっていいですか?」


 「良いですよ。ではこちらです」


 

 鍵を受け取り3階の【ボインボイン】に入る。中はベッドと机のシンプルな内装で、半畳程の室内シャワールームもあり、名前ほどふざけているわけでは無かった。荷物を置き一階のバーカウンターに戻ると、ビールと先程のメニューにあったものを注文する。


 

 クッソ、名前以外はメチャクチャ普通だ。寧ろシャワーもあるしこの世界じゃ高級クラスだわ。


 “おそらくスクラッチを生き残った建物なんでしょうね”


 だろうな。ブリティッシュな香りがプンプンしやがる。この建物もあの店主の性格も。

 

 

 早速出て来た芋と豆グラタンを摘みながら、チップスを嚙りビールを流し込む。


 

 “おちこむ?錫乃介様が?”


 俺ナイーブでしょっちゅう落ち込んでるんだぜ。

 ある日ナンパ続けて20人やって全部駄目でようやくひっかけた相手が家出してきた女子高生で泣く泣く諦めたこととか。


 “何で諦めたんですか?”


 その当時日本の法律じゃ下手すると未成年者の略取だか誘拐だかになりかねないからだよ。


 “たかがナンパで変なとこでビビりですね”


 ちょうどそういう未成年の拉致監禁事件が立て続けに起きたばかりでピリピリしてたんだよ。

 他にもシンガポールのカジノで全財産すった時とか、ようやくバイト先の女の子と人生初の花火大会デートにこぎつけたと思ったら当日台風直撃したりとかよ、その時は悲しくてパープルレイン聞きながら泣いてたぜ。


 “そういえば人妻と娘さん同時に振られて落ち込んでたことありましたね”


 思い出させるんじゃねーよ。別に惚れてねーし。


 “それにしても、どうしようもなくくだらない事ばかりですね”


 黙りねぃ!!



 ナビと駄弁りながら旅の疲れ(二日酔いの疲れ)を癒していると、ジャケットのポケットに入っていた葉巻に気付く。ポルトランドのハンターユニオン支部長タヌ山からパクって来た高級シガー、コイーバ・エスプレンディードスである。

 食後の一服にしようと、シガーカッターとガストーチをウォーリーに借りる。オーセンティックなBARだと、シガーグッズは大概置いてあり借りられるものだが、このお店でもあったようだ。

 大人の親指よりも太い葉巻の吸口をカットし、ガストーチで炙り火をつける。欲を言うならガスライターより、マッチや蝋燭の火の方が香り良いのだが贅沢は言えない。

 紫煙が立ち昇り上質な薫香を口内を満たすと、ゆっくりと吐き出していく。チェリーやスパイス、ハチミツ、キャラメルのような味わいが余韻に残る。17.8センチもあるこういった長い葉巻は、吸い始めから中盤、終盤と味わいが変化し、吸い方にもよるが1時間近く楽しむ事が出来る。


 

 マリーと交渉した時は、演出だったから適当に吸ってたけど、改めて吸うと本当に美味いなこの葉巻は。

 こんな酒場でこんな高級な葉巻吸ってると、無駄に目の良い商売女が絡んでくるんだよな。

 「ねぇ、お兄さんとなりぃ、よぃ?」

 ほらな。ボンキュッボンなら相手してやるぜ……


 

 返事を待たずに隣に座る者に目をやると、露骨に胸の部分だけが開き、身体のラインが強調された黒いカットソー。無理やり作った色白な胸の谷間を見せながら、猫撫で声でこちらに身体を近づけて来くる女性が、否、どう見ても12〜3歳の茶髪で前髪パッツンお目目パッチリ美少女であった。


 

 「ん〜、チェンジ」


 「なによいきなりぃ」


 「俺、ロリコンじゃ無いんだよね。どうせ買うなら、もっとボイン・ザ・ドスケベ・エッチ・ザ・セッ○スな女じゃ無いと盛り上がらないんだ」


 “冠詞のザが2回入ってます”


 「ええ〜男は100%ロリコンじゃないのぉ?わざわざ高い金払ってこの身体にしたのにぃ〜」


 「誰が言ったか知らねぇけど、そんな事ねぇぞ。だいたい昔はAVの売上だって半分以上は人妻熟女だったんだからよ」


 「そうなのぉ?でもそれ昔の話でしょお」


 「まぁな。お前実年齢いくつだよ」


 「20だよ」


 「嘘だな」


 「……28」


 「いいとこ32で子供もいるだろ。馬鹿だな、そのままの年齢ボディだったら喜んで買ってやったのによ」


 「ちょっと当てないでよ、もう。……でもぉ元の身体は機獣に食われちゃったしぃ。ローンで買ったこのロリロリボディなら、男が群がるから稼ぐの楽だって聞いたからぁ」


 「で?その身体に換装してから稼げたのか?」


 「全然〜」


 「嘘だな」


 「……まぁローンは完済したけどぉ」


 「じゃあもういいじゃねぇか。それよりな俺の伝票で飲むんじゃねぇよ。マスターも付けんじゃねぇよ」


 「いいじゃん一杯くらい。ここんとこ景気悪くてぇ、子供の為に生活費稼がなきゃいけなくてぇ。おじさん金持ってるでしょ? そんな無駄に高そうな葉巻吸って」


 「冗談じゃねぇ、こちとら1,000万の連帯保証人だぞ。この葉巻はとあるオッサンから脅し取っただけだわ」


 「なーんだ、ドケチ貧乏チンカスジジィ」


 「本当の事だし自覚してっから煽りにならねぇよ」


 「変な奴ぅ」


 「よく言われる。それ飲んだら他当たんな」


 「あら、ありがとうぉ。はいお礼のチュッ!」


 「ハイハイ」



 錫乃介の頬で軽く接吻音だけ鳴らすとサッと手を上げ店を出て行く女の子であった。


 


 その夜中。

 昼間二日酔いで寝過ぎたせいか、ふと目が覚めた錫乃介は夜風に当たりたく、観音開きの窓を開ける。

 室内に入り込む冷たい空気は、体を包み残っていた眠気を優しく剥がす。外は静かな宵闇の世界ではなく、下ではまだガヤガヤと騒がしい。どうせ明日には出発するのだからと軽くブラつきたくなり外に出ることにした。

 夜空には星空と月が美し輝き、タルマックの街を青白く照らす。夜の通りにはかろうじて開いている屋台がチラホラあり、道端には酔っ払いが倒れ、ワケのわからないことをブツブツ呟いている男とも女とも言えない半裸の禿頭デブが立ち、ダボダボのベンチコートをきた売れ残りの街娼男娼がうろついている。夜中になってもまだまだ妙な活気がある街であった。



 “眠れないなら強制睡眠導入も出来ますが?”


 いや、良いよ。また、ようやく旅らしくなってきたなぁってね。せっかくこの世界来たんだから楽しもう、って思ってたしな。


 “その割には能動的な旅というより巻き込まれ型の強制旅という気もしなくもないですが”

 

 確かーに!


 “ホラ、また何かトラブルっぽいですよ”


 

 歩む道の先では、小さい影が大通りを走って突っ切り、その後を三つの大柄な影が追いかけている。

 小さい影はキャーと叫んでいるが、この夜の街では無駄に叫ぶ者が珍しく無いため、目立つことはない。



 “どうします?”


 ん〜、パス!


 “賢明ですね”


 帰ろ帰ろ。


 “こっち来ますよ”


 え〜、逃げよう。



 回れ右して走り始めるが、小さい影はえらいスピードのまま緩むことなく、走り始めたばかりの錫乃介に追いついてしまう。

 “助けて!”と腕を掴まれ、グルリと身体を回され後ろに縋り付く影はまだ小さい女の子だった。


 「おまーさっきの」


 「あ、お兄さん! 良いところで! 恐い人達に追われてるの! 助けてくれたらなんでもしてあげる!」


 「ノーサンキュー。それじゃ」



 縋り付く腕を振り払い、回れ右して走り去る。三つの大柄な影がグングン近付いてくるのを振り返ると、走っているせいか手にはしてないが、腰には30センチ程のマチェットと、大きめの拳銃が目に入った。



 “型式はわかりませんがマシンピストルかと思われます。気を付けて下さい”


 俺気を付ける謂れ無いんだけど。



 「ちょっと助けなさいよぉ!」

 

 並走して走る小さい影は夕食時に絡んできたロリロリ娼婦。白いホットパンツから覗く細長く白い足が、忙しなく動く。



 「いやですぅ」


 「お礼はするから!」


 「いくら払う?」


 「女の子から金とるの⁉︎」


 「あたりめぇだろ、てめぇのロリボディなんざいるか」


 「んんんんん!!!500!!」


 「あばよ」


 「じゃあ800!!」

 

 「1,000だ」


 「わかった!払う!」


 「商談成立。じゃあ、その路地入ろか」


 

 そのまま走りながら、コンクリートの壁に挟まれた二人が並んでやっと通れるくらいの狭い路地に入る。

 追手の影を確認すると携帯していたスタングレネードを後ろに放り投げると、数瞬の間を置き響き渡る轟音と視界を潰す眩い光。追いかける影の叫び声すら聞こえるはずも無く、錫乃介達はそのまま逃げ去る事に成功するのだった。


 

 一路『おっパブバブー』で荷物とジャノピーを回収すると、狭い車内で膝に女の子を乗せ無理矢理タンデムして走り出す。甘ったるいバニラの様な香水の香りが鼻をくすぐるのが何とももどかしい。


 

 「お前名前は?」


 「ロリーナ」


 「ロリーナ、何した?」


 「えーとぉ、一晩相手する予定の奴がぁ、1人分の料金で3人相手しろって迫って来たから、逃げて来たのぉ」


 「嘘だな」


 「本当だよぉ」


 「それだけじゃないんだろ」


 「……やつらの財布がなんでかここにぃ」


 「全く手癖悪りぃ女だな。その財布に金戻して返してやれ」


 「でもアイツらこの街のマフィアだから今更返しても、もう駄目かもぉ……エヘヘ」


 「俺なんでコイツに関わっちゃったんだろ」


 「どうしよう?」


 「俺に聞くな。とりあえずガキいるんだろ、そいつも回収するぞ」


 「うん」



 ロリーナの住むという家は武装という名の毛が生えた程度のミニバンであった。

 ミニバンの中を覗くとまだ5〜6歳の女の子が寝袋に入り寝ている。



 「旦那は?」


 「いないってか知らなーい。どっかの街でいつだったかの客の子だしぃ」


 「じゃあ気にする必要ねぇな。こんな危ねぇことばかりして一つの街に長いこと居られねぇ、そういうタイプだろお前」


 「おじさんって超能力者ぁ?占い師ぃ?なんでも当てちゃうんだねぇ。そうなの私ぃ、南のマカゼンでやらかして逃げて来たのぉ。マフィアの縄張り無視して荒稼ぎしすぎちゃってさぁ、その前も……」


 「もういいよわかったわかった、俺の人生に何で一瞬とはいえコイツ踏み込んできたんだろ?」


 「そうそうこの子はパンパン可愛いでしょ? 世界一の娼婦に育ててあげるのが私の夢なの」


 「おお確かに可愛いな。でも娼婦を否定するわけじゃ無いが、もう少し育ってからでいいから本人の意向も聞こうな」


 「うーん。そうだねぇ」


 「この車は動くよな」


 「ちゃんと走るよぉ」


 「よぉし財布に金戻して、奴らと泊まった宿の前に投げ捨てて、そのまま街出るぞ。ホラ財布寄越せ」


 「え〜勿体なーい。コレないとおじさんに1,000c払えないよぉ」


 「嘘だな。少しは貯めてんだろ」


 「……ハイ、1,000cです。奴らからもらったお金も戻しました」


 「自業自得だ!よし、そら行くぞ」


 「エーン……鬼ぃ悪魔ぁ」


 「それはおまえだろ!」


 「エヘヘ……」



 ジャノピーをかっ飛ばして、ロリーナが指示した連れ込み宿の前に財布を投げ捨てる。そのままミニバンと共に街の検閲場に向けて走るが、追手がいつの間にやら現れる。

 屋根に重機銃が乗ったセダン型の武装車だが、流石に街中でそれを発砲をする様子はないが、マシンピストルを片手にミニバンを狙ってくる。

 防弾仕様ではないので、ジャノピーを後部に付けて防いでやる。


 

 クッソ、こちとら綺麗にしてやったばかりなのによ!傷だらけにしやがって。


 “まぁ、彼等はどちらかというと被害者側ですけどね”


 1番の被害者は俺だけどな。


 “間違い無いです。とはいえ仕方ありませんね、少しだけ脅してあげますよ。ハンドル操作を私に”


 あいよ、とナビにハンドルを任せると、道のカーブの所でジャノピーの後輪を滑らせドリフト走行で車両を横付けする。

 ブローニング重機銃で相手のボンネットを狙い撃ちにすると、バカリと開いて視界を塞がれ、追手は操縦ミスで近くの壁に激突して沈黙した。

 


 あ〜あ、アイツらなんか同情するわ。



 そのまま外壁を抜け堀に架かる橋を渡り、待ち伏せされていない事を確認すると、ドライブスルーのような検閲場を抜ける。抜ける際は、あの人を小馬鹿にするAIが“昨夜はお楽しみでしたね” と話しかけて来たが、無視をして通り過ぎた。



 「ほらよ、ポルトランドのポルポルトビルにいるハサンって言うマフィアのボスに当てた紹介状だ。あいつらの傘下に入ってれば、タルマックの奴らも娼婦1人にそう手出しはしねぇだろ。

 娼婦でかまわねぇから今度は盗みをしねぇで真面目に働け。

 嘘はほどほどにしろ。

 バレる嘘は付くな。

 子供は愛してやれ。

 適度に教育してやれ。

 遊んでやれ。

 同世代の友達を作ってやれ。

 身体を冷やすな。

 ちゃんと歯を磨け。

 パンツ履けよ」


 「なんかぁ、説教くさーい」


 「説教は全おっさん共通の趣味なんだよ。それからこれは当面の生活資金にしろ。ポルトランドは物価が高いからな」


 「え……950cって……50cも減ってるぅ」


 「それぐらい迷惑料だろが」


 「冗談だよぉ。おじさんは一緒に来てくれないのぉ?」


 「方向が逆だ。俺はマカゼンに行くんだ」


 「そぉ、今度ポルトランド来たらタダで私を抱いていいからねぇ。一晩だけぇ」


 「これだけやって一晩だけかよ!」


 「じゃ、じゃあ何ヶ月でもぉ何年でもぉ、ずぅっと抱いて良いよぉ。おじさんならぁ」


 「言ったな、その言葉忘れるなよ、後悔させてやるぜ。それから俺の名前は錫乃介だ。おじさんじゃねぇ。“ドブさらいの錫乃介”っていやぁちったあ知られたもんだ。それじゃあ、道中気をつけろよ」


 

 言いたいことだけ言って、サッと手を上げアクセルを捻ると、錫乃介は砂埃をあげてジャノピーを走らせるのであった。


 

 「あ、ちょっ……」


 行っちゃった……

 


 「ママぁ、どうしたの?」


 「あ、パンパン起きちゃった? んーとね、ママね初めて男の人に告白してみたの。でもわかってくれたのかな?たぶんわかってないかな……エヘヘ」


 「かわいそうなママ」


 「ねぇ。それじゃパンパン。次の街、行きましょう」



 一台のミニバンが、ポルトランドに向けて、エンジンを吹かす。

 荒野を走り去るミニバンの後ろ姿は少しだけ楽しそうで、ちょっとだけ寂しそうであった。



 残金15,950c

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