公募の一次選考にどうして落ちるのか。あるいは、どうしたら通過できるのかをマジメに考えてみた。

千の風

まず、公募の目的から一次選考を考えよう

 こういう作品が一次選考を通った。この作品は通らなかった。

 作品としてはこっちの方が上のような気がする。基準がわからない。そういう人も多いと思います。特にウェブ小説では公募作品を直接読めたりするので、なおさら疑問が深まることもあるでしょう。


 まず、考えてみてください。公募は何のためにあるのか。


 整理してみましょう。

 出版社も営利企業です。公募で賞金が出るなら、そのお金を回収する必要があります。具体的には書籍化して売ることがそれにあたります。

 つまり公募の最大の目的は、書籍化した場合に売れる作品を探すことです。


 そしてそれをどう選ぶか。これが次のポイントです。

 ほとんどの場合は、選考委員などが募集要項に公開さています。最終的には本物の小説家や出版の責任を持つ編集者たちが選ぶことになりますが、多ければ数千作にも及ぶ公募作品の全てに目を通すことはできません。

 そこで必要になるのが一次選考です。


 そこで考えましょう。出版の権限を持つ編集者は一次選考に何を期待するか。

 当然、受賞作品は自分たちで決めたいと考えるでしょう。そうだとすれば自分なら受賞させたかもしれない作品が、一次選考で(間違って)落とされるのは極力避けたいと思うはずです。


 そこから導き出される答えは、出版社が一次選考に期待することは『受賞の可能性のない作品をあらかじめ選別して除いてしまうこと』になります。つまりは、足切りです。


 ここで押さえておきたいのは、一次選考の選考基準は最終選考とは違うということです。小説としての面白さや作家の将来性などを深く掘り下げるのは、二次選考以降を担当者する人間の役割となるはずです。最終選考と同じ基準で選考することを、最終選考者は望んでいないと考えるのが妥当です。

 なお、ここで論じている一次選考は『最初に一定の足切りポイントで作品を選別する過程』となりますので、三次、四次選考がある場合は二次選考も含まれる場合があります。具体的には、絞られている作品の数などから想像してください。



 ここでの論点をまとめると、一次選考に落ちる理由は『出版社(編集部)が設定した足切りポイントに引っかかったこと』になります。逆に言えば、足切りポイントに引っかからなければ一次選考を通過するということです。


 では、どうしたらその足切りポイントをクリアできるのか。


 次章からは五回に分けて、その足切りポイントについて具体的に解説していきたいと思います。

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