第4話 ここはどこ?私は何?
(あれ?なんか心地が良い。この声。上野さんの声♪
ん?なんでこんな傍で聞こえるの?
※ダミヘの効果ありすぎだよ~それともCDのボリューム間違えたかな?
夢かな~?)
っと、今までとは違う彼の声の聞こえ方に私は戸惑っていた。
そっと目を開けると、
(ここどこ?家じゃない。職場でもない。TVでよく見るアフレコ現場?
は? なんで? っていうか私の景色の見え方なんかおかしい。宙に浮いてる?)
(あ、知ってる声優さんがいっぱい見える。私どういう状況なわけ?)
そんなことを瞬時に色々考えつい、
「え~なんで?」って声を出してしまった。
「ん?今の誰?台本にないよ、アドリブ?」
そんな上野さんの声が聞こえた。
でも、他の声優さんは何の話?と言うように彼を見た。
「気のせいかな?ごめんなさい」
っと上野さんも、ばつが悪い風に少し縮こまっていた。
(もしかして、私の声、上野さんにしか聞こえてない?まあ、ともかく収録終わるまでは黙っていないと邪魔になっちゃうし…私なりにこの状況を冷静に把握しなきゃ)
と、本来あわてんぼうで、ドジな私が何とか冷静になろうと頑張ってみた。少なくとも大好きな上野さんの邪魔だけは絶対にしちゃいけない。それだけは強く思って。
でも、何をどう考えても、どうしてこんな状況になっているのか全くわからない。
こうなる直前まで何をしていたのかも全く思い出せない。
ただ、視界から見える景色で何とか自分が人ではないことがわかっただけだった。
※ダメへ…ダミーヘッドマイクの略語で人の顔型の立体音響マイクです。耳の鼓膜の奥の位置に高感度のマイクが仕込まれていて、役者さんの話す位置や声量によって、実際にその場で聞いているような臨場感のある収録ができます。あなたの耳元のすぐそばで囁いてくれます。
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