六ツ目

「こいつが私の許嫁だ!!」


 幼馴染なのか、幼馴染に似ているのか。

 わからないまま、私が第一声を発する前に六歳児が叫んだかと思えば、脚に抱き着いてきた。

 妙に威圧感のある物言いが幼馴染に似ているが、きっと気のせいだろう。

 だって、私たちは許嫁同士じゃないし。


「えーと。お嬢ちゃん。人違いじゃない?」

米田よねだかれん。十七歳。池名田いけなだ高校二年十組普通科」

「勘違いかなー。お父さんかお母さんは?うん。見当たらないねー。警察に行こうか」

「おい。気づかない振りをするのもいい加減にしろよ。かれん」


 視線を下げなくてもわかるわ。

 ドスの効いた声音に似つかわしい、めっさ破壊光線出しそうな目つきしてるやろ。




 どうやら。

 黒にゃらか、ドラにゃらに選択肢は絞られたらしい。






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