ホームシックガール
高校生
ホームシックガール 第1話
「ねぇ〜聞いてる?」
はっとすると、幼馴染みの勇人が不機嫌そうな顔で私の顔を覗き込んでいた。
「あ、ごめん。何話してたっけ?」そう言うと、いじけた勇人はリュックに入っていたスマホを取り出しいじり始めた。
女の子みたいな可愛い顔、ふわふわした話し方。勇人は幼稚園からの幼馴染みで、私の親友。
「ごめんって。」笑いながらそう言うと、勇人はスマホを閉じてニヤリと笑い、「ボーっとしてどうしたの?」と聞いてきた。「実はね…」
私には好きな人がいる。毎朝私と同じ電車に乗り、隣の桜葉高校に通っている人。
私が高校の入学式に行くための電車でめまいを起こした時、知り合いでもない私を支えてくれた。きっと彼はそのことを覚えてないだろう。
でも、私はその時からずっと彼に恋をしている。
「ふ〜ん。で、その後その人と話せたの?」「実は、お礼も言えてなくて…彼とは毎日同じ電車に乗ってるんだけど、いつも女の子と一緒にいて話しかけられないんだよね。」
「その人、かっこいいの?」
「かっこいいのかな?分かんないなぁ」
「じゃあ、明日その電車に俺も乗るよ。見てみたい。いいでしょ?」
もちろん嬉しくはないけれど、可愛い幼馴染みに至近距離でお願いされたんじゃ断るに断れない。
「いいよ。その代わり変なことしないでよね?」
私が不満そうな顔でそう言うと、勇人は何か企んだような顔をしながらストローでオレンジジュースを吸った。
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