作られたブランド
バブみ道日丿宮組
お題:あいつのブランド品 制限時間:15分
作られたブランド
やったことがないのにやったことにされるのが最近続いてる。
「ありがとう。この資料のおかげで教頭をぎゃふんといわせることができたわ」
「そうですか」
廊下で担任とすれ違うときにいわれた言葉だ。過去をいくつ戻ったとしても、担任との交流はない。あったとしても三者面談といういわゆる特別なものだけだ。
悪いことをして呼ばれる可能性というのもなくにはないだろうが、目立つことをしてないのでそれもない。
「あなたのおかげで彼氏ができましたの。これ、お礼ですわ」
下駄箱に到着すると、一人の少女がこちらを見た。手渡されたのは封筒。開けてみれば、万札が大量に。
「え、えっとこれはさすがに受け取れないよ」
なんのお金だかわからないし、額を調べたくないぐらいに札束が多いというか、大きい。
「わたしのちょっとしたお小遣いですからお気になさらずに。仮にここで支払わなくても、あなたの口座に数千万のお金が入るわ」
今回はその一部を手に持ってきたと、彼女は言う。さすが金持ち。お金は紙のようにすらすらと消費されてく。
「わかりました。受け取っておきます」
ようやくというか、担任が廊下ですれ違い、下駄箱でお嬢様と出会い、そしてーー。
「あなたのブランドは高く売れるね」
学校の門に背をつけてた少年が言葉を作った。
「つまり君がこのへんな状況を作り出してくれてるってこと?」
「そうともいうけど、君じゃなきゃ動かせないものもあったよ」
「どうしてこんなことをするの? 君にメリットないよね?」
ふふと笑い声。
「人のブランド力がいかに変化するかの実験がしたくてね。君はその対象に選ばれたってわけ」
「実験サンプルってこと?」
「口悪く言えば、そうだろうね。ただ1つ安心してほしいのは、実験が終わったとしてもあなたの評価は落ちることはないってこと」
いわゆるいじめごとに堕ちるということはないということだろうか。
「あなたのブランドはかつてこの国を支配してたといわれる大名のまねごとでね、なかなか面白いんだ」
「そうですか。なら、なるべくはやく終わらせてくださいね」
興味もないので、足早に門を後にした。
肩越しに振り返ってみれば、少年はついてくることなく、学校内へと戻ってった。
作られたブランド バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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