外星

バブみ道日丿宮組

お題:奇妙な愛 制限時間:15分

外星

 それは遥か未来を夢見たーー少年と少女の物語。


 はじまりはそう……よく晴れた日。

 突如として『それ』は現れて、空を黒く染めた。

『それ』に乗った首謀者は、かつてこの星から迫害されたものであり、宇宙人と結託してた。

『それ』から逃げる人に紛れて、少年と少女はお互いを見失った。人の流れというのは時として逆らえるすべがない。ときにまだ小さな子どもとなれば、話はより一層濃くなる。

 二人は数年の時を得て、再会することになるが、その時にはお互い違う立場の重要人物になっており、再会を素直に喜べる状況ではなかった。


 戦に戦。


 ついには内星と外星の戦争がはじまる。

 この星の未来を担うとして、少女は特殊な遺伝子を何百と身体に挿入された。その結果として、身長は縮み、漆黒の髪が純白の髪へと変化した。そして人間の遺伝子ではなくなった。

 星を侵略する者として、少年は機械との融合により、人間の四肢をなくす。その代わり、幾千ものパーツを自由に組み替えられる存在となった。皮肉にもそんな状況下になっても少年はまだ人間であった。

 両者のキメラが完成し、戦争はより過激さを増す。

 

 人が死んで、生まれる。

 

 それを10回ほど繰り返し、星が荒地になった頃にようやく、和睦の使者が双方より遣わされた。

 星側の代表として、片腕、両足をなくした少女。

 外側の代表として、人の形をしていない少年。

 二人は笑いあった。

 いつか夢見た手をようやく掴むことができたのであった。

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外星 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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