君とそして

お題：僕と会話 制限時間：15分

君とそして

　ーーめずらしいね、君がこの時間にこの場所にいるのは

『今日は休校だったんだ。それでここでなら時間を潰せると思ってね』

　ーーそっか。暇をつぶすのであれば、僕の正体を探してみてはどうだろうか？

『正体？　同じ学生ってのは聞いてたけど、特定できるぐらいの状況なの？』

　ーーそんなに難しくはないさ。さすがに本名だとか、どこの学校だかってのは公表できない。

『そりゃこのチャットサイトだとセキュリティ的にあれだよね。鍵がついてるとはいってもどこでなにが流れるかなんてわからない』

　ーー動画サイトなんだ、ホモと見るシリーズなんかは個人をよく特定してるね。まぁ、彼らが悪いはずなのに、問題行動を起こす人が起こしてるからどうしようもできないんだよね。

『だよね。だからこそ、チャットで君の正体がわかるのかっていうのはとても不可解に陥る状況だよ』

　ーー至極当然のことだね。だいたい性別すらわかってないだろう。君が男ってのは僕からすればすぐわかったけど。

『女かもしれないだろ？　男だっていう証拠はどこにもない』

　ーーそうやってムキになるのが男っていう存在の証なのさ

『なるほどな。知らなかったよ』

　ーー知ってたとしても男はでかく見せようとする性分を持ってる。君が日常的に書き込んでくるテキストにも情報がいくつか散らばってた。

　ーーラーメンが好きだとか、最近のゲームでかわいいこがあたったとか、スク水が最高だとか、妹が可愛く見えるとか。いろいろ僕は知ってる。

『そうだな……友だち以上に友だちの情報を知ってるっていってもいいかもしれない』

　ーーかれこれこうやってチャットをしだしたのは3年前ぐらいだったか。あの頃はお互い警戒心しかなかったね。

『そりゃぁそうなるだろう』

　ーーで、それで僕の正体を探してみるって話だけど、大事な情報を与えよう。こちらは既に君の正体というかどういう生徒かまで情報を集めきったよ。

『マジ？　そんな漏れるような情報あったかなぁ』

　ーー画像あげてくることあるだろ、あれである程度の範囲が狭まる。動画であれば、周囲に聞こえる音に特異性はあるかとか。情報をどこにもである。

『ひぇ、ネットって怖いんだな』

　ーーあぁ、だから君はここ以外では投稿を控えるといい。僕は君の写真・動画を見ても特になにかするってことはない。

　ーーそれで僕は以外と君の近くにいるよ。

『それっておなじ学校ってこと？』

　ーーその可能性は高いね。一日一回は君を見つけるよ。

『うーん、かなり限られるはずなのに、記憶にない』

　ーー僕は影だからね。みられても数秒してしまえば消え去る。そんな存在さ。唯一ここでの会話が僕の会話ともいっていい。

　ーー日常生活の言葉はほとんどないよ。

『そんな例外的な人物を探せばいいってことなんだよな？』

　ーーそう特殊なところにいる人間を探すということ。

『わかった。やってみる』

　ーー最後に書いて僕は席を立つが、僕の姿に驚かないでくれよな？