小説の主人公

バブみ道日丿宮組

お題:小説の小説 制限時間:15分

小説の主人公

 小説、それは人の生き様を描いた物語。

「とはいえど、ここまで大きく話を傾ける必要はないんじゃないか?」

「歴史的な人物となれば、仕方ないこと」

 自分が小説の主人公になるとは思わなかった。

『謎の英雄』、『銀の魔術師』、『悪魔の微笑』など。かなりの数が出てる。

 同じ人物を主人公にしてるはずだが、性別年齢はバラバラだ。小説の中に正しいことがあるとすれば、√Aという名称だけだ。

「ご自分がもっと世の中に出ればいいですのに」

「出たとして、こんな子どもの言うことなんて信じないだろう」

「そうですね。ただのクソガキにしか見えません」

「おい」

 涼しい顔を返された。

 自分はそう……、脳みそ以外作り物。

 それも幼い少女の身体を利用してる。これには理由があって、大人が信用しやすいのと、無駄な凹凸がないぶん侵入しやすいなどといった理由があるが、一番はこのお供の趣味である。

「たまには少年の身体でもいいだろうに」

「それは美しくありません。可憐な少女が事件を解決するからこそ物語は盛り上がるのです」

 性別不詳、年齢不明というのはあながち間違いじゃないのかもしれない。

「そこらへんはよくわからんな」

 小説をぱらぱらとめくり、挿絵を見る。

「実際はこんな可愛くないんだけどな」

「そうですか? 中身はアレとしましても、外見はかなり凝った作りですよ」

 鏡を手渡される。

 そこに映るのは、金髪青眼の少女。年長組を終えて、小学生になろうというくらいの容姿だが、見かけに対して、重量は4倍ほど。

 科学の粋が入れ込まれたこの身体は、なにごとにも対処可能なように作られてる。まぁ、裸体を見たとしてもただの子どもにしか見えない。持ち上げられたとしても、システムによってそれ相応の体重を誤認させる。

 だから、設定上の重量と、体感する重量は異なってる。

「次の依頼ですが、インタビューです」

「なんだ。正体暴露でもするのか?」

「いえ、潜入する学校の面接です」

「それはインタビューとは違うだろ」

 話すだけで、記事にされることではない。

「同じようなものだと思いますよ。書面にデータを残させるのですから」

 そうなのだろうか。

「それ用の身体は用意できてるのか?」

「はい、とびっきりの美少女を用意いたしました」

 そうかと、その身体が置いてある部屋へと向かうのであった。

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小説の主人公 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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