夜中のお店

バブみ道日丿宮組

お題:冷静と情熱の間にあるのは夜中 制限時間:15分

夜中のお店

 夜中しかオープンしないお店があった。それは居酒屋とか風俗とかそういうのでなく、普通に食処。それなのに、オープン前は客が並んでる。

 予約制もとってあり、並んでる人たちは次に回される。

 僕たちは予約してたので、並ばず人を観察することにした。

「子連れ、老人、カップル、陰キャ、陽キャ。共通点はなさそうだね」

「デブとかで統一されてるわけでもない」

 うーん、と唸り声が耳に入る。

「メニューも普通のカツ丼、ラーメン、焼肉定食、冷やし中華、串焼きと特別なのはない」

「それがおいしいんだろうね。値段は庶民的だし、メニューも多ければ、毎日通ってもいいかもしれない」

「それはちょっとやめてよね? デートのたびにここにくるなんて正気の沙汰でないと思うの」

「まぁ……異質さはあるよね」

 お店はオープンしたようで、客が中に入ってく。

 僕らは、30分後を予約してるので、様子を眺める。

「中には待合室もあって、2階もある。結構な人が中に入れる仕組みになってるんだ」

「へぇ、だから外で待ってる人がもう残ってないのね」

 開始時間はこうであるが、稼ぎ時である18時ー19時はそうはいってられない。外にもずらりと列を形成して並ばなくてはいけないっていうルールがある。

 他の人の迷惑をかけず、自分たちのフィールドだけで片付ける。店主はよく考えてみてるものだ。

「私はドラゴンフルーツが出てくるのだが楽しみだわ」

「あっそうだね。普通の家庭にすら出てこない果物だものね」

 個人で買ったら、どうやって捌けばいいのかよくわからない形をしてる。まぁそれをいったら、ヒトデもどこを切ったらいいのかわからない生物だな。もちろん、食べないんだけど。

「ちょっとテンション上がってきたわ」

「なに? さっきまでクールで冷静だったのに」

「待つ時間ってのが材料として料理されうのよ。空腹もね」

「もっと早くに予約すればよかったかな?」

 相棒は腕を組むと、

「並んでる客にまじるようで入るのは気がひけるわ。何か問題が起きたら困るし」

 複雑そうな顔をした。

「問題がないようにいろいろ動いてくれてるんだからさ、今度は早い時間にしよう」

「どうして?」

「早く終われば、君とのデート時間は長くなる。1つの行動に対してもそれは重々にかかってくる」

 そうと相棒はうつむく。

「いろいろ考えてくれてるのね」

「あぁ、僕にしてはだけれどね」


 時間よという相棒の声に従い、店内に入ると予約であると受付に話した。

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夜中のお店 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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