特異な人間
バブみ道日丿宮組
お題:名付けるならばそれは狂気
特異な人間
発見した時、そこは真紅の血で辺り一面満たされてた。
その現場の中心地にいた少女は、静かに死体を口に運んでた。それは父親だったのか、母親だったのか、あるいは兄弟だったのか。その正体はわからない。
わかってることはーー異常。
まさにその一言だった。
それと同時に保護しなくてはいけないと思った。こんなところに置いていってはいけないと感じた。
いわゆる戦争孤児。
ただ病と、精神が落ちこんでるのだろうと、病院で精密検査すると、人間のものではない血液型と、肉体構造をしてるのが発覚した。
ある種吸血鬼めいたものを感じたが、その考えは間違ってなかった。
こちらが差し出す食べ物を口にせず、生肉を試しに渡したところ、すぐに口に入れた。
彼女は人間であって、人間でないのかもしれない。
「……うまいか?」
「……」
少女はうちで一緒に生活してる。
相変わらず食べるのは肉の破片だ。調理したり、味付けをすると口にしない。
ある意味で単純だといえる。
「……明日買い物にいこうな」
日用品が切れかかってた。
「……」
少女は静かに頷いた。
理解する脳はあるのだが、未だに喋ってはくれない。
お風呂に入れるのも、着替えさせるのも、なすがまま。唯一食べることだけはしてくれるのだが……。
「……」
「お前の家族の検査をしてみたんだ。そしたら、ただの人間だという結果が出た」
つまり、彼女だけ特殊なのだ。
家族は人間で、少女は別。
「お前の仲間はいまのところいない。一人だけの世界だ」
今はそうなのかもしれない。
だが、今後も現れないという保証はない。
戦争はいたるところで起こってる。その中で変異するということならば、新たな少年少女が生まれる可能性は高いといえるだろう。
人間を捕食してたという現実はどう対処したらいいかは未だ答えが出ず。上への報告もしてない。
ただの保護少女として家に入れたとしかいってない。
「……まぁいいか」
優しく頭を撫でると、少女はほんのりと笑った。
特異な人間 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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