親が借金
バブみ道日丿宮組
お題:シンプルな借金 制限時間:15分
親が借金
親が急に高価なものを着るようになった。
それはもちろん自分のお金ならいいのだけど、
「……また借りたの?」
「そう。100万も借りられたわ」
嬉しそうに買ったものを見せびらかしてくる親を見て、心底クズだなと思った。
こんな家に生まれてこなければ、私の自由はまだあった。学校にバイト、それに勉強と睡眠時間を毎日削って私は生きてた。
「もうお金入れないから」
「あんたなにいってるのよ! ちゃんとお金はお母さんたちに渡しなさい!」
本当嫌になる。
怒られることが正しいことならともかくとして、怒られることはいつも正しくないことばかり。小さい頃はこんなことはなかったんだけどな。
「私だって使いたいものがあるんだから、わかってーー」
平手が飛んできた。
口の中に鉄の味を感じる。どこか切ったみたいだ。
「何よその口! 誰のおかげで生きていられてると思ってるの!」
私のカバンから乱暴に通帳を手に取ると、お母さんは外へと出ていった。
「……はぁ」
通帳にはお金は入ってない。すでに別口座に切り替えてる。つまり一銭もお母さんにいくことはない。その事実を知るまでに10分はかかるだろう。
その間に私は家を出る用意を持って、外に出る。これで自由になるってことはないけど、彼女の家で保護してもらえる。
数日間学校には行けなくなるが、そこはあまり心配してない。
それなりの学業と、それなりの運動を、それなりにこなしてきた。
たった一週間の休みであっても落ちたりはしない。逃亡といってもおろそかにすることは考えてない。彼女が持ち帰ってきたプリントなどで予習復習をして……なんとかできると思う。
本当はお父さんにも家を出てもらいたいがお母さんがいる限り、それはできないだろう。あんなクズみたいな親であっても、家族なのだ。私と違って愛情だってあるだろう。
「……今からいくから」
電話を片手に外に出る。
日光を浴びたせいか、口元が傷んだ。
そういえば叩かれたんだっけ……毎日のように叩かれてたから忘れそうになってた。
これからは違う痛みが私を守ってくれる。
そう思うと、血の味が美味しく感じた。
私はしんそこクズな相手を求めてるんだ、と。
親が借金 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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