運動

バブみ道日丿宮組

お題:青いむきだし 制限時間:15分

運動

「青春してるね?」

 校庭のトラックを走り終えると、幼馴染がタオル片手にやってきた。

「ただのライフワークだよ」

 タオルはほんのりと暖かった。

「それでも部活やってる人よりハードじゃん? 見てみなよ」

 後ろを指差すので視線を送ると、ぜぇぜぇと呼吸を見出した生徒たちが倒れてた。

「あんたの走りに陸上部がついていけてないよ」

 そんな大したことをしてるつもりはなかったんだがな。

「たまたまってこともあるんじゃないか?」

「10数人がたまたま体調が万全じゃないってそれはそれで奇跡みたいなものだね」

 うんうんと頷いた幼馴染は、右腕に抱きついてきた。

「帰ろ。もう終わったんだよね?」

「あぁ帰る。帰るがくっつくと汗が匂うから」

「あんたの匂いなら平気平気。あっタオル返してね」

 匂いフェチの幼馴染は、いつもこうやって汗を拭いたタオルを回収してる。右腕の温もりが消えた。

「洗濯して返すよ」

「いらないいらない。これがいいの。これを枕元に置いてくんくんするとよく眠れるんだ」

 もはや性癖のレベルだ。

「そんな顔しても返さないからね」

 取られると思ったのか、幼馴染はタオルをカバンへとしまった。

 抵抗感は消えない。自分の体液がなにかに使われてるのかと思うと、ちょっとびりびりと肌が逆立ってしまうのはしかたのないことだろう。

「なーに? そうだ。一緒にお風呂入っていい?」

「いやさ……そっちは汗かいてないじゃん」

「だって、お風呂じゃないと生汗かげないよ?」

 どういう理屈だろうか。

 ほんと……幼馴染には驚かされてばかりだ。これで才女というのだから、世の中は不公平かもしれない。

「ちょっと私の悪口思ってない? あんただって十分に異端なんだからね」

「……そうかもしれない」

 認めなければいけないかもしれない。

「じゃぁ帰るからー」

 ばいばいと陸上部に手をふると、男子生徒たちが元気よく手を振り返した。

 なんだ、元気じゃないか。

 僕にはそういう視線らしい視線を送ってすらこないくせに。

「はぁ……」

「ほら、いくよ」

 右腕を引っ張られるように学校の敷地から外に出た。

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運動 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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