アルパカのいる学校

バブみ道日丿宮組

お題:アルパカの傑作 制限時間:15分

アルパカのいる学校

 学校にいる動物といえば、鶏、熱帯魚、うさぎ、亀といったところだろうか。

 場所によってはラマやら、ダチョウ、パンダ、クジャクやら変わったものがいるらしい。

 そういう意味でいえば、私の通ってる学校も変わってるといえるかもしれない。

 私の通う学校にはアルパカがいる。

 アルパカたちが暮らしてるのは、教室6個分にもなる牧場。

 変わってるというのはここも当てはまる。

 学校に牧場がある学校なんてものは、普通科が主体のところにあるわけがない。

 学業優先……という言葉は当てはまらない。

「……いい食べっぷり」

 餌の当番となった私と、クラスメイトたちは、それぞれのアルパカへと餌をあげてる。アルパカは人懐っこくて、スカートをめくったり、キスをしてきたりと、男子生徒以上に愛情表現が強い。

 今もスカートをすらすらとめくられてるクラスメイトがいる。……私の担当じゃなくてよかった。

「……いいこいいこ」

 頭を撫でると、撫でられるがまま、餌をアルパカは食べる。

「……元気な赤ちゃんを産んでね」

 私の担当してる個体は妊娠してる。他のアルパカよりもお腹がだいぶ大きい。先生の話じゃ、ここまで大きなお腹になることはないってことだ。

 運動不足で脂肪がタプタプになる現代人と違って、アルパカは自由気まま。太るっていうことは徹底的に管理された学校方針では起こらない。

 つまりは……少なくとも2頭はお腹の中にいるのかもしれない。

 私は一人っ子だから、お姉ちゃん、お兄ちゃん、妹、弟という感覚はわからない。親戚はいないため、これから増えるということもない。

「……私たちはおばさん、おじさんになるのだろうか」

 アルパカたちは子どものような存在だ。そんな彼らから産まれる命は私たちにとっても輝かしい存在。家族みたいなものだ。

「先生が掃除しろってさ」

「わかった」

 相変わらずスカートをめくられたままのクラスメイトがほうきを手渡してくる。

「……一苦労」

 各クラスから5人ずつ、合計45人が広いエリアをはいてく。

 これは一時的なもので、大掛かりなのは休日に学校が業者を呼んで行ってる。

 私たちはアルパカを通じて愛という言葉を学ぶのかもしれない。

「……ん」

 そう思うと、掃除というめんどくさいことも儚く感じた。

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アルパカのいる学校 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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