映画を見る

バブみ道日丿宮組

お題:許されざる境界 制限時間:15分

映画を見る

『それ以上進んだら人間でなくなってしまう!』

「そんな事言う暇あったら助ければ?」

 映画を見てぽつりと少女が声を漏らす。

『誰かのためじゃなく自分のために行くのであれば、それは意思というのよ!』

 画面の中で変貌を遂げようとしてる中で、二人の女声が声を荒げてる。

 変貌してるのは仲間の一人で、実験を継続させるためにサンプルを自分に注射した。変化すぐに起こり、背中から手が生え、口から犬歯がサーベルタイガーのように生えた。

 今は四つん這いになり、天井へと飛んだ。

「蜘蛛かな」

『新しい生命体の誕生だというの!?』

『これが彼女の実験成果よ! 本部に報告しましょう』

 困惑する一人と、満面の笑みの一人。

 視聴者はどちらを求められてるのだろうか。

 恐怖、欲求、知識。

 いろいろなワードが頭の中でピンボールしてく。

「怪物は成功っていえるのか」

 それが私の答えだった。

『どこへいこうというの!? ま、まさか外に出ようと!』

『彼女はもう自由の身よ! 羽ばたかせましょう!』

 なにをしてるのだろうかこの人達は……。銃があるのだから、もう殺処分してあげたほうが未来がまだあると思う。

 物語は当然逃げられるという進み。彼女に噛まれた人が次々と感染してくパンデミックというおまけつき。

「……」

 ここまではよくある話だ。散々ゲームで演出として描かれてきたテーマ。

『さぁ1つになりましょう』

 彼女を追い詰めたのは、彼女を絶賛してたほう。もっとも人間という人間ではなくなってた。同じウィルスを打って、人間の境界線を超えてた。

 そんな化け物の手をとると、熱い交尾シーンが描写された。

 隠語とか、SEとばりばりのやつ。

 いったいいつから化け物系AVをみはじめたのだろうか。

「……長い」

 たっぷり5分間その光景を見せられて、最後に身体からぽたりと一体のなにかが落ちた。

 間違いなく子どもであろう。作られるのが早すぎるが、次回作への伏線なのだろう。

「……どうしようかな」

 このシリーズをまとめて借りたので続きは見れる。

 あらすじだけみると、どんどん化け物じみたエロが出てくるようだ。やっぱこれAVなんじゃないのか? パッケージにはR指定はない。

 国がこの状況を望んでるってことだろうか?

「まぁいっか」

 続きを見ようと円盤を手にすると、

「痛っ!?」

 なにかに引っかかり人差し指から血が出た。

「DVDケースギザギザじゃない」

 管理が悪いなと思いつつ、再生ボタンを押すと私の意識は飛んでいった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

映画を見る バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る