雲が咲く
バブみ道日丿宮組
お題:春の作品 制限時間:15分
雲が咲く
かつて日本という国には四季という季節があった。
それは春、夏、秋、冬、と、どれもがとてもいい響きを持ってた。
今の世界ははずっと雪景色。
太陽が見れる日はめったにない。いやないといってもいいくらいだ。
だからこそ、雲を散らす爆弾というのは支持と、批判が殺到した。意見は半々とはいえ、暴動が至るところで起こった。
日本を超えて、世界へと広まった雲はとても濃い。それを科学兵器で吹き飛ばすというのは現実的なのかどうなのか私にはわからない。
ただ……希望がつまってることはわかる。
政府の指示がなければ、独断でやってたかもしれない。
「博士どうですか?」
「うーん、順調かな?」
私はその爆弾を開発したスタッフ。
破壊という言葉の権威を持ってる。同時に咎人でもある。
はじめて作ったのは、ねずみ殺し。ねずみに殺意があったわけじゃないが、身近にいて試せるのがそれしかなかった。
次に作ったのは、猫爆弾。目標地点に到達すると、四肢を文字通り爆発させる爆弾だ。これはいつそこにいくかもわからないため、実用化はされることはなかったし、知る人もいない。ちなみに未だに爆弾は爆発していない。もしかしたら、猫の寿命が尽きるまで起こらないかもしれない。
そうしていろいろなものを破壊した。
さすがに人を破壊し始めたら、国に存在が露見してこうして身元を確保された。
「こんな小さなものが雲をはがせるんでしょうか」
「大きなものが強いってことはない」
体内に圧を加えれば、どの動物も息絶える。そこに大きい、小さいなんて概念は不要だ。
「これが人間の希望になるわけですね」
「それは……どうだろう」
雲がなくなれば間違いなく人間は人間同士で争うようになるだろう。共通の敵というものがなくなるのだからな。
「あとは本部の発射命令がきて、打ち上げるだけ」
「離れましょう。警備が多いところに」
助手の言葉に従い、その場を後にした。
もう二度とこの場所にはこないだろう。
大地は引き裂かれ、空を裂き、爆炎を撒き散らす。
これが思春期に思いついたものかと思うと、もっと学生らしい生活をするんだったなと感慨深く思ってしまった。
雲が咲く バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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