第3話 はじめまして邪神様

光が消え、神との交信が失敗に終わったことを自覚した俺の絶望は大きく


まるで幽体離脱したかの様な体の感覚は未だ健在だった


(俺の二年間は無駄だったのか)


悲しみで涙が流れると言うが、今の俺に有るのは只々虚無感


<随分と絶望しているね>


声が聞こえた。

その声が正気を戻してくれ、その姿を見ようと目を…開けられない。


これはまるで、まだ神と更新しているかの様な!?


<ここは地獄さ。お前さんは死んでるよ>

困惑中の俺に信じられないことが告げられる。


<お前さん、神罰をくらったね?一体何をしたんだい?>


此度の声は先ほどと違って非常に色っぽくて心地良かった。


(実はですね…





声の主は自神じしんを邪神と言っていて、俺の話を聞いてケラケラと笑っていた。


<あらら、あやつに魔法を所望したのか。そりゃ神の怒りにも触れるってもんさ>


そう言って、邪神様は俺にもわかる様に色々と説明をしてくれた。


2年前から使える様になった力というのは、

世界の格が上がったことで使える様になった超常能力ならしいのだが、


神にとっての魔法というのは魔の法。

つまり魔とは人を惑わし善を害するものであり、俺が最初に会った様な善神と言われる立場の神には忌み嫌われるものならしい


そんなことを言われても、俺の世界では魔法として知られていたしそんな言葉の揚げ足を取られてもと言ったところだ。


<願った内容も悪かったな。魅力と威厳が欲しいっていうのは欲望が強すぎる。ああ言った輩には道を示してくれとか世直しのための力を求めるもんさ>


そんなの俺の欲しいものじゃないじゃん!

って事は、神頼みしてたこと自体が間違いで、今までの全ては無駄だった、いや行いによって地獄に落とされてるんだし無駄どころかマイナスだったって事かよ。


<白々しいな〜!バシッと言えば良いのに>


と言いますと?


<分かってるだろう?私も神だよ。しかも魔の力を持った>


という事は、力もくれて元の世界に帰れると?


<あゝ。でもね、力には対価がいるのさ。善神は導くだけで、力を得るのは自分次第だが、邪神はそうじゃない。望む力を与えてやれる。そのかわり…>


そのかわりに俺の魂を貰うと?


<その認識で間違ってないね。神の使徒として生きてもらう。死んでもここでずっと私の部下だよ>


そう言って、どうする?と聞いてくる

悪魔の囁き、いやもっとひどい邪神の囁きだが、俺の心は決まっている。


(お願いします!)


<いい返事だね。じゃあ、魅了と威圧の力をやろう。その力で楽しく生きな>


その瞬間、猛烈な痛みが襲ってくる

全身を強い力で押しつぶされているかの様な、体を切り刻まれてその上塩を塗り込まれるかの様な形容し難い尋常じゃない痛み


その痛みはしばらく続き、たまらず僕は意識を失った。

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