ティンダロス館の顕現
向陽日向
導入 旧支配者の胎動
①
声が聞こえる。
海底に沈んだ幻の大陸【ムー】から響く、くぐもって聞き取りづらい声だ。
周囲を泳ぐ魚たちも揺らぐ意志を察したのか、一斉に泳ぎ去る。
水深五千メートル近くに沈んだ大陸だ。響く声などない筈である。
再び、声がした。
先程よりも明瞭かつ、威圧するような声だ。
それは地球上の如何なる言語とも違う、はっきりと発音が出来ない音だ。
「間もなくか。長き眠りだったぞ」
地球の言葉に置き換えると、このような意味をもつ音。
小さな胎動は、幻の大地に築かれた都市【ルルイエ】から全世界の海を揺らす。
外宇宙より太古の地球に飛来し、かつてこの星を支配していた
今や海底都市と化したルルイエがゆっくりと浮上を開始する。
近くの大陸に打ち寄せた大波が大地を削り、海岸には大量の魚たちが打ち上げられ、彼らの父祖である【ダゴン】へその身を捧げた。
全ては【大いなるクトゥルフ】のために。
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