ゴミ捨て場への冒険!

水天使かくと

いざ出陣!

俺は今日も仕事が遅くまであり非常につかれている。

風呂に入り、コンビニの夕飯をたべ、やっとほっと一息ついたところだ。

本当はこのまま、ベットに入りバタンキューといきたいところなのだが、今夜はそうはいかない。

そう!

明日はゴミを捨てる日だ。

毎日、コンビニ弁当や外出自粛となれば当然、ゴミが山のように増えてくる。

こればっかりはこのまま置いておく…とはいかない。

臭いもでるし、そうあいつも…。

おぞましい黒い物体!RPGでいえばラスボスになるのか…。恐ろしい…。


あっ、そうそう。なんでたかがゴミでそこまでと。朝、すてればいいじゃんとおっしゃる方もおられるでしょうが、俺は朝が極端に苦手で起きられない性分でして…。

なので、朝の8時のゴミ捨時間に間に合わず、いつもゴミがたまっていった。

いわゆるゴミが捨てられない症候群とでもいいましょうか…。

とにかく俺は考えた…。

そうだ!夜のうちに捨ててしまえばいいんだと。

世間一般ではもちろん、猫やカラスなどに荒らされ、夜中には捨てないでってとこもあるだろうがそんなこといってられない!


深夜0時をまわりいざ準備!

とはいっても、俺は小心者なのでゴミ捨て場に行くまでに誰か住人にでも出くわさないかが不安で仕方ない…。

やはりいけないことをすると人間、どことなく不安も増強し、挙動不審になるものだ。

いろんな葛藤もあったが、そんな気持ちもぬぐい去り、ゴミをかき集め、パンパンに1つにまとめる。

玄関でサンダルを履き、いざ出陣!

ドアをそっと閉めマンションの共用部分の廊下を足音を立てずに歩く。そっと…。


「うわっ!」と思わず声をあげてしまった。

廊下の足元に小さい黒く長細い虫がゆっくり横切っていた。大の大人がとお思いでしょうが、これまた俺は虫が大の苦手なのだ。


そういえば、虫たちは夜行性なのでこの時間はいわば、RPGに例えると敵たちのオンパレードだ。

そしてゴミは重要アイテム。そのアイテムを今からゴミ捨て場という名の重要な遺跡にはめにいこうじゃないか!

というのが俺の中だけの冒険設定!

黒い長細い虫をかいくぐり歩いていく。

「うっ!」

今度は胸のあたりに左から右へサーッと茶色いものが飛んでいく。でっかい蛾だ。

ここには普通サイズより一回りでかい蛾がけっこういる。

俺の行く手を阻んでいるかのように…。


ようやくエレベーターの前にたどり着きホッとしながら到着を待つ。

エレベーターに乗り込み1階ボタンを押す。

深夜なので住人は誰ものってこない。

内心ハラハラはしたが…。

はぁ…ホッとしていると1階に着いた。

よし!あとはエレベーターおりてちょっと歩けばゴミ捨て場だ。


扉が開き、またまたいざ出陣!

足を一歩出そうとした瞬間!

「うわぁー!!」と叫んでしまった。

今は深夜だ…迷惑なことだ…。

持ってたゴミはエレベーターの奥に放り投げ、一歩出そうとした足は下に着けず、俺はまさにイヤミのしぇー!のポーズになってしまったのである!

なんと1階エレベーターの扉の真ん前に、あのおぞましいでかい黒いラスボスが出現したのである!

俺はそのまま固まりラスボスは動かない!

そのうちエレベーターの扉はシューと閉まっていく!

とっさに開ボタンを押そうとしたつもりが自分の階ボタンを押してしまった…。


癖というものは身に染み付いているものでエレベーターが閉まるとついつい条件反射で自分の階ボタンを押してしまう。


ウイーン…悲しげにエレベーターのモーター音が響き渡る。

俺はゴミとともに再びもと来た階へ連れ戻されてしまったのである。

再度降りる気力も失せ、やはりルールは守らなくてはいけないよなぁ…明日、朝、頑張って捨てにいかなくては…と思いながら、共用の廊下を歩くと、例の虫たちは跡形もなく消えていた。

ゴミを持ち帰った俺をおかえり、どうぞといわんばかりに!


俺は玄関に入り足元に視線をやるとなんと右足が裸足だ。

きっとサンダルをラスボス付近においてきてしまったらしい…。

なんとついてない…。

仕方なく別のサンダルを履き替え

弱気にいざ出陣!

サンダルの片方をとりに戻るとなんとラスボスが俺のサンダルのど真ん中に陣取っている!

こっこれは!さらに負けた…

俺はラスボスに負けただけではなく、別アイテムまでも奪われてしまったのである。

サンダルはあきらめることにした…。


朝、住人は思うだろう…。

なぜここに片方だけサンダルが?と…。


これからはちゃんとルールは守ろうと心に誓った俺であった!


こうして俺の一夜にして儚い冒険の旅は終わったのである。













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ゴミ捨て場への冒険! 水天使かくと @sabosuke

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