一話一分ホラー短編集

悪ノリ大学生

　ぼくは、午前3時、友達のケンタくんとユカちゃんの3人で、近所の神社のお賽銭を盗みに行きました。

　理由は、ただ、遊ぶお金が欲しかったからです。

　ケンタくんが賽銭箱の上に飛び乗って足にグッと力を入れたら、賽銭箱は簡単に壊れました。

　中のお金を全部取り出して、空になった賽銭箱は、3人で頑張って運んで、手水舎に沈めておきました。

　ユカちゃんが、狛犬にヤキを入れようと言って、タバコの火を狛犬の眉間に押し付けてました。

　眉間が黒焦げになりました。

　ぼくたちは大笑いしました。

　そのあと、ぼくとケンタくんは鳥居におしっこを掛けました。

　ユカちゃんは笑っていました。

　おうちに帰り、3人でお賽銭を山分けしました。

　5時になってお外は明るくなってきました。

　ケンタくんとユカちゃんは眠いと言って帰ってしまいました。

　ぼくはスマホで、今日撮った写真を整理していました。

　ぼくは、あれ？と思いました。

　3人で、手水舎まで賽銭箱を運んでいる動画がありました。

　3人ともいい笑顔で笑っています。

　誰が撮ったんでしょうか。

　せーのの掛け声と共に賽銭箱が投げ込まれた所で、動画は終わりました。

　「死ね」

　耳元で声がしました。

　その直後、頭の中でブチって音がして、気がついたらこの病院に搬送されてました。

　あれから10年経ちますが、ぼくはずっと植物状態です。

　ケンタくんとユカちゃんはあの日の帰り道、神社で首を吊ったそうです。

　2人とも、何かに必死に抵抗した後があり、吊ったと言うより、吊るされた様だったそうです。

　ぼくは死にたいです。

　誰でもいいから殺してほしいといつも願ってます。

　夜になると、2人の苦しそうな顔がいつも窓に浮かびます。

　ぼくは怖いです。早く死にたいです。

　気が狂いそうです。

　もう狂っているかも知れません。

　ぼくが何をやったというんでしょう。