最終章 《女性陣の怒り》

「よ、良かった!!さっきより頼りになる人たちが来てくれたわ!!」

「早く助けて〜!!」

「先に私を解放しろ!!そうすればこんな触手、全て切り裂いてやる!!」



ルナたちが現れると触手に捕まっていた女性陣が助けを求め、状況はよく分からないが助けを求める彼女達を見てルナは即座に動く。



「よく分からないけど、その触手を斬ればいいんだな!?よし、任せろ!!」

「ルナちゃん、女将さんを先に助けて!!もう限界なの!!」



戦斧を手にして駆け出したルナを見てヒナはテンを助けるように促すと、彼女は泡を吹いて気絶しているテンが触手に捕まっているのを知って驚いた。



「テン!?どうしたんだ!?まさか、こんな奴にやられたのか!?」

「いや、その辺はちょっと話すと長くなるというか……と、とにかく助けてあげて!!」

「分かったぞ!!」



ヒナに言われるがままにルナはテンを助けるために戦斧を振りかざすと、この時に別の触手がルナの行動を遮ろうとした。彼女の頭上に目掛けて触手が振り落とされ、それを見ていたエリナが咄嗟に矢を放つ。



「ルナさん、危ない!!」

『ジュラァッ!?』

「うわっ!?」



エリナの撃った矢はルナを叩き付けようとした触手に突き刺さり、クラーケンは悲鳴を上げて狙いを外してしまう。エリナのお陰で触手を回避する事に成功したルナはテンを拘束する触手に近付き、戦斧で切り裂こうとした。



「ぬめぬめ、テンを離せ!!」

『ジュラァッ!?』

「うぎゃっ!?」



戦斧をルナは振り払うと、テンを拘束していた触手が切り裂かれて拘束されていたテンが解放された。彼女は甲板の床に叩き付けられて目を覚ますと、ルナが急いでテンを引き寄せる。


テンの救出に成功したルナはテンの腕を掴んで力ずくで引き寄せ、そのまま仲間達の元に目掛けて放り込む。彼女は見た目に寄らず怪力で純粋な腕力ならば船に乗り合わせた人間の中では五本指に入る。



「ランファン!!テンを頼む!!」

「うおっ!?」

「あいたぁっ!?」



ルナが放り込んだテンを受け止められるのは巨人族のランファンだけであり、彼女がテンを受け止めるのを確認したルナはそのまま別の触手に斬りつけようとした。



「うりゃあっ!!」

「あいたぁっ!?」

「私達も行きますよ!!」

「援護は任せてください!!」



ヒナを捕えていた触手をルナが切り裂くと、それを見ていたアリシアと他の聖女騎士団も続く。エリナは弓矢で他に捕まっている人たちの触手に向けて矢を放ち、次々と捕まっていた者達が解放されていく。



「どりゃあっ!!」

「あいてっ!?」

「くっ……助かったぞ」

「身体が自由に動ければこっちの物ですわね!!」

「もう許しません!!ミイナ、行きますよ!!」

「私も怒った……絶対に許さない」

『ジュラァッ……!?』



触手に拘束されていた者達が全員解放されると、船首のほうにクラーケンの頭が出現する。遂に水面に姿を現したクラーケンに対して女性陣は怒りの表情を浮かべ、各々が武器を構える。



「ドリス、今回は力を合わせるぞ!!」

「ええ、私も今回ばかりは全力で力を貸しますわ!!」

「ううっ……お気に入りの服だったのに」

「よくも女将さんを……」

「お、おおっ……皆、凄い気迫だな」



触手に捕まっていた者達は怒り心頭といった表情を浮かべ、あまりの気迫にルナでさえも気圧されてしまう。彼女達の様子を見て余程酷い目に遭わされていた事を知り、聖女騎士団の面々も苦笑いを浮かべる。


尋常ではない気迫を放つ女性陣にクラーケンは気圧されそうになるが、現在の飛行船はクラーケンが張り付いており、下手にクラーケンに攻撃を加えると飛行船に被害が被る。そのために迂闊には攻撃できないが、甲板にアルトの声が響く。



『飛行船を浮上させる!!甲板に居る者は気を付けてくれ!!』

「アルト王子!?」

「いったいどこに……」

「違う、これは反響石だ!!王子は船の中にいる!!」



アルトの声が聞こえた事に甲板に居る者達は戸惑うが、触手に抑えつけられていたロランはいち早くアルトが船内に居る事を伝える。反響石とは風属性の魔石の一種で音を遠方に飛ばす事ができる魔石だった。


飛行船に搭載された風属性の魔石が反応し、風圧の力で徐々に飛行船が浮き上がっていく。この時に飛行船に張り付いていたクラーケンは風圧を間近に受けてしまい、強制的に引き剥がされた。



『ジュラァッ!?』

「よし、離れたぞ!!全員、総攻撃だ!!」

『はああああっ!!』



飛行船が浮上した瞬間にクラーケンは空中で吹き飛ばされ、それを目撃した女性陣は水面に落下するクラーケンに目掛けて躊躇なく飛び降りる。リンとドリスは魔剣と魔槍を重ね合わせ合体攻撃の準備を行い、他の者たちも各々の魔剣や魔斧を振りかざして攻撃を行う。



『くたばれ、女の敵!!』

『ジュラァアアアアッ!?』



全員の声と攻撃が重なり、クラーケンの断末魔の悲鳴が湖に響いた――






※この女性陣達ならゴブリンキングが相手でも勝てそう……(;´・ω・)

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