後日談 《旋斧の修復》

――シャドウとの戦闘にて破壊された旋斧だったが、後にナイはハマーンに修復を頼む。ハマーンは先の事件の後に冒険者稼業を完全に引退し、本格的に鍛冶師へと戻る。


破壊された旋斧はハマーンの手によって完璧に修復され、元通りの形へと戻った。この時にハマーンは旋斧の表面に「火竜」を模した紋章を刻み込み、改めてナイへと引き渡す。



「ほれ、直したぞ」

「わあっ……ありがとうございます!!」

「まだ礼を言うのは早いぞ……ほれ、魔法剣が扱えるかどうか確かめると良い」

「はい!!」



ナイは旋斧を受け取ると、手元の感覚や重さは完璧に以前のままだが、ハマーンの言う通りに魔法剣が発動すれば元に戻ったと言える。意識を集中させてナイは旋斧に魔力を送り込むと、今までとは異なる変化を遂げる。



「えっ!?」

「これは……魔法剣、か?」



二人の目の前で聖属性の魔力を送り込まれた旋斧は「光の剣」と化し、刀身全体が光り輝く。その光景を見てナイとハマーンは驚き、今までに聖属性の魔法剣を発動した時は魔力を纏うか、あるいは白炎を纏うかの二通りしかなかった。


旋斧の刃が「光剣」と化した事にナイは驚くが、どうやら旋斧は先のシャドウとの戦闘で能力が変化したらしく、試しに他の魔法剣を発動すると属性に合わせた色の光剣と化す事が判明する。



「ふむ、こいつは面白いのう……火属性ならば赤色、水属性ならば青色、雷属性ならば黄色と色が変わるのか」

「何だか不思議な感覚です……」

「だが、魔法剣が発動できるという事は魔剣として完全に復活したという事じゃ。いや、最早この剣の力は聖剣に匹敵したといえるかもしれん」

「聖剣って……あの伝説の剣の事ですか?」



聖剣の存在はナイも知っており、自分の旋斧が聖剣に匹敵する代物と化したという話を聞いて驚くが、確かに今まで旋斧で屠ってきた敵の事を考えると納得してしまう。


これまでにナイは火竜、ゴーレムキング、ゴブリンキング、更にはリョフやシャドウという強敵を倒し、その度に旋斧は成長して強くなっていた。ナイの成長に負けぬように旋斧も強くなり続け、遂には聖剣にも匹敵する存在と化す。



(これからもよろしくね、相棒)



ナイは旋斧を見つめて笑みを浮かべ、この旋斧があったからこそ彼はここまで強くなることができた。逆に旋斧の方もナイだからこそここまでの力を手に入れたと言える――

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