第801話 闇ギルドの刺客
「シャドウは何処にいる!?」
「ぐええっ!?し、知らない……俺は人伝で聞いただけで、シャドウとは顔を合わせた事もないんだよ!!」
「だったらシャドウの居場所に心当たりがある人間は!?」
「そ、それも分からない……」
「ふざけるな!!」
ナイは盗賊の男を突き飛ばし、地面に向けて拳を振り下ろす。その結果、ナイの拳によって地面に亀裂が走り、それをみた盗賊は悲鳴を上げて後退る。
「ひいいっ!?ま、待ってくれ……それなら、オロカが知っているかもしれない!!」
「オロカ?」
「オロカは闇ギルドの代表で、シャドウと唯一繋がりを持つ相手だったんだ!!他の闇ギルドもシャドウと取引する時はオロカを通じていたはずだ!!オロカならきっとシャドウの居場所も知っているはずだが……でも、そういえばあいつはさっき死んだと報告が届いたような……」
「死んだ!?なら、聞き出せないじゃないか!!」
「ま、待ってくれ!!オロカは死んだのは間違いないが、あいつの部下なら知っているかもしれない!!オロカの部下の中で一番偉い奴なら何か話を聞いているかも!!」
盗賊によるとオロカならばシャドウの隠れ場所に心当たりがあるかもしれず、そのオロカに信頼されている人間ならばその隠れ場所を聞いている可能性がると伝える。他に手がかりもないため、ナイは盗賊からその部下の情報を問い質す。
「オロカの部下は何処にいる?どんな奴?」
「お、俺も見た事はねえが……噂によるとオロカの右腕と呼ばれている奴の名前はグシャだ。グシャは凄腕の暗殺者であのイゾウにも張り合える実力を持っていると言われている」
「グシャ……あのイゾウと互角?」
ナイはイゾウの事を知っており、裏社会では最強の暗殺者として名前を知られていた。そんなイゾウと互角の力を持つという言葉に驚くが、グシャを見つけ出せばシャドウの居場所が分かるかもしれず、そのグシャの居場所を問い質す。
「グシャは何処にいる!?」
「そんなの俺に分かるわけないだろうが!!だけど、グシャはオロカが拠点にしていた場所なら幾つか知っている。そこに行けば会えるかもしれないが……」
「よし、それなら案内しろ!!」
「ば、馬鹿を言うなよ!?お前、何処へ行くのか分かってるのか!?闇ギルドの拠点だぞ、どれだけの盗賊が待ち構えていると思ってるんだ!?」
「いいから教えろ!!」
盗賊はナイの言葉が信じられず、闇ギルドの拠点の乗り込むなど正気の沙汰ではない。しかし、これ以上にシャドウを放置できないと判断したナイは盗賊を脅して闇ギルドの拠点を聞き出す――
――盗賊の男に道案内させ、遂にナイは闇ギルドの拠点の一つに辿り着く。その場所は酒場であり、現在は廃屋のようだがこの地下に闇ギルドの拠点が存在するという。
「ここだな?」
「あ、ああ……おい、本当に一人で行く気か?他の奴等は連れてこないのか?」
「時間がない、いいから来い……裏切ろうとすればどうなるか分かってるね?」
「ひいっ……!?」
ナイは盗賊の男と共に酒場の中に入り込み、盗賊の男の案内の元で隠し通路を発見し、そこを抜けると地下に続く階段が存在した。階段を降りると酒場の地下には更に酒場が存在し、そこは営業中なのか十数名の人間が酒を飲んでいた。
「ふうっ……それにしてもオロカ様が死ぬとはな」
「これからどうなるんだ、俺等?」
「ここも何時までも安全とは限らないしな……」
聞き耳を立てるとどうやら本当にこの拠点はオロカが管理していた拠点の一つだったらしく、盗賊の男と共にナイは降りると、それを見た男達は訝し気な表情を浮かべる。
「おい、誰かと思えばコウモリか。こんな時に何の用だ?」
「てめえ、うちの所属じゃないだろ。気軽に入ってくるんじゃねえよ」
「へ、へへっ……す、すいませんね」
盗賊の男はどうやらコウモリという名前らしく、彼を見た途端にオロカの配下の暗殺者達は胡散臭げな表情を浮かべるが、その彼と共に降りてきたナイを見て更に怪しむ。
「……お前等がオロカの部下か?」
「あ?何だ、そのガキは……おい、待て!!こいつ、さっきシャドウの奴が送ってきた手配書の……!?」
「そうだ、間違いない!!あの巨鬼殺しか!!」
「はっ、丁度いい!!コウモリ、お前が捕まえてきたのか!?」
「い、いやぁっ……そういうわけじゃないんですけどね」
コウモリは暗殺者の言葉に対して愛想笑いを浮かべ、一方で暗殺者達はシャドウが抹殺対象として指定しているナイがここに現れた事に喜ぶ。そんな彼等を見てナイは呆れながらも周囲を見渡す。
酒場内に存在する十数人の暗殺者の中で最も存在感を放つ人物を探し、そして一人だけ隅の方で座っている人間に気付き、直感でナイはその人物がオロカが信頼している「グシャ」だと見抜く。
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