幕間 《狂戦士の伝説》

――王都へ向けて狼車が向かう途中、ナイは車内にて水晶板のペンダントを使用し、現在の自分のステータスを狼車内の全員の前で表示した。


事の発端はリーナであり、彼女はナイがレベル1でありながら大量の技能を習得しているので強いという話は父親から聞かされていたが、具体的にどれほどの数の技能を習得しているのか知らなかったので問い質す。そこでナイは全員の前でステータスを明かす事にした。



「ほら、これが僕のステータスだよ」

「わあっ!!本当にいっぱい技能を覚えてるんだね!?」

「ナイ君、凄〜い!!」

「し、信じられません……これだけの数の技能を覚えている人なんて見た事がありません」

「私達なんか、5個か6個ぐらいしか覚えてないのに」

「……ふむっ、前にも見せて貰った事はあるが、相変わらず凄まじいね」



壁際だけではなく、床まで表示しなければ見る事が出来ない数の技能にモモ達は驚き、それぞれの感想を呟く。



――――――――――――


・貧弱――日付が変更する事にレベルがリセットされる


・器用――手先が器用になる


・頑丈――肉体の耐久性が上昇する


・受身――外部から受けた衝撃を緩和する


・迎撃――敵対する相手が攻撃を仕掛けた際、迅速な攻撃動作で反攻に転じる


・熱耐性――高熱に対しての耐性を得られる


・観察眼――観察能力を高め、周囲の状況を詳しく把握できる


・暗視――暗闇の中でも周囲の状況を把握できる


・索敵――潜伏している敵の位置を捉える事ができる


・隠密――気配を限りなく消し去り、存在感を薄くさせる技術が向上する


・無音歩行――足音を鳴らさずに移動する技術を身に付ける


・気配感知――敵意を抱く生物の気配を感知できるようになる


・採取――採取の際、良質な素材が多く手に入りやすくなる


・栽培――植物を育成する際、通常よりも成長速度が早まり、植物の持つ効果も高まる


・解体――死骸から素材を剥ぎ取る技術が向上する


・調合――調合の成功率が格段に上昇する


・腕力強化――腕力が強化される


・怪力――肉体の限界近くまで力を発揮する事ができる


・剛力――限界を越えた腕力を一時期的に発揮できる


・脚力強化――脚力を強化される


・俊足――移動速度が上昇する


・硬化――筋肉を凝縮させる事で防御力が上昇する


・命中――弓矢、投擲系の武具で攻撃する場合、命中率が上昇する


・跳躍――跳躍力が強化される


・自然回復――自然回復力が高め、病気や怪我が治りやすくなる


・毒耐性――毒に対する耐性を得られる


・投擲――投擲を行う際、標的に的中させられる


・調理――調理に関する技術が向上する


・経験値増加――敵を倒す、あるいは経験石を破壊した時に入手する経験値の増加



――――――――――――



ここまでがナイが現時点で覚えている技能であり、続けて彼は習得可能な技能を確認する。



――――――――――――



・狂化――興奮状態へと陥るが、攻撃力が大幅に強化される(SP消費量:10)


・魔力拡張――魔力の限界量が拡張される(SP消費量:10)


・熱吸収――熱を吸収し、自分の力へと変換させる事が出来る(SP消費量:10)




――――――――――――



相変わらず覚えられる技能に特に変化はなく、大量にSPが有り余っているため、その気になれば現在習得可能な技能は全て覚える事が出来た。だが、ステータスを確認した際に覗き見していたアルトは険しい表情を浮かべてナイに忠告を行う。



「ナイ君……間違ってもこの「狂化」の技能だけは覚えてはならないよ」

「えっ……」

「もしかして……これ、狂戦士が覚える技能?」

「狂戦士?」



アルトの忠告とリーナの口から出た「狂戦士」という言葉にナイとモモは首を傾げるが、ヒイロとミイナは耳にした事があるらしく、二人は冷や汗を流す。



「狂戦士!?それはもしや、あの有名な殺戮者の事ですか!?」

「私達も聞いた事がある。昔、巨人国の軍隊を相手にたった一人で挑んで大勢の巨人を倒した伝説の殺戮戦士……」

「た、大量虐殺!?」

「何それ、怖いようっ……」



ミイナの話を聞いてモモはナイの後ろに隠れ、アルトもナイがまさか「狂化」の技能を習得できることを始めて知り、彼は冷や汗を流す。


この狂化の技能だけは非常に危険な能力らしく、彼によれば間違っても覚えてはならない技能であり、今後も絶対に身に付けない様に注意する。



「いいかい、ナイ君……普通の人間として生きていきたいのならこの技能だけはどんな事があっても覚えてはいけないよ」

「ど、どうして?」

「この技能の恐ろしい点は……一度身に付けた場合、自分では制御出来ないんだ」

「制御が……出来ない?」



制御できない技能など存在するのかとナイは驚くが、アルトによればこの技能は任意で発動させる類の技能ではなく、ナイが身に付けている「器用」や「頑丈」などの技能のように常に能力を常時発動させた状態になるらしい。




※ゲームで例えると「剛力」は任意で発動させる「スキル」です。しかし、器用や頑丈などは常に発動する「パッシブスキル」です。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る